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【だから、Aを傷つけないで帰ってきて】
首領室から出ようとした時、エリスは泣きながらそう言った。
森さんに泣きつきながらそう言っていたから、よく覚えている。
【エリスちゃん、A君はそんなこと…】
【しないとは言いきれないわよ!
リンタロウのバカ!分かってた癖にっ…ひっく…ぅ】
【ご、ごめんね?エリスちゃん…】
ガチで泣いていたエリスを森さんは必死に泣き止ませていた。
森さんも本当に困った顔をしていた。
(居たい…ねぇ)
生憎、私はそんな感情持ち合わせていない。
そもそもこの世界に生きていたくないのだ。
そんな私が、この世界で共に居たい人なんて居るわけが無いだろう。
「無いな…」
何度ジサツしても、成功することはない。
手を抜いている訳では無い。
しかし失敗を繰り返すせいで、体だけが強くなってしまった。
……そんな体、私は嫌いだ。
ずっと成功しない不幸と付き合わなきゃならないから。
……だから、Qやエリスが羨ましい。
Aと出会って幸せになった。
エリスは感情を手にし、Qは孤独が癒された。
私が救われるとしたら、一体なんだろうか?
_死を手に入れられるのだろうか。
欲しいものを手にして居る2人はAに依存した。
私だって欲しいのに、Aは私に回ってこない。
私だって、死を手にしたい。
Aを手懐けて、死を捉えて___
「……は?」
待て。
(私、今なんで…?)
なぜ、彼女が救いなんだろうか。
__エリスとQが救われただけなのに、なぜ私も救われると思ったのだろうか?
ただの平凡の女に、なぜこんなことを求めたんだろうか。
(馬鹿馬鹿しい)
私の問題は、そんな簡単に救えない。
それが一番自分が、分かっている。
子供の二人だからAは救えた。
(私は…私だけは、そんな簡単には…)
そうおもいつつ、私は天井に隠してある人形に触れた。
人形に触れると白い光を発して、消えて行った。
__救われない。。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時