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コツコツ、と何者かが階段をおりてやってきた。
そして部屋に入り、ある牢の前で立ち止まった。


「Aを離せ、Q」


彼がそう言うと、ちゅ、ちゅ、と部屋に響いていたリップ音が止まり、Qは目線を逸らした。
呼ばれた彼はやってきた人物を見ては、顔を歪めた。


「いやだ。Aは僕のだもん」


そう言ってQは彼女を抱きしめた。
そして「太宰さんなんかにあげないもん」と彼女を愛おしそうに見ては言葉を漏らした。

やってきたのは太宰治。
異能力無効化の彼が、緊急としてやってきた。


「…」


ふと、彼は彼女を見た。

彼女は目から血の涙を流し、Qを大事そうに抱きしめていた。
小刻みに手は震えていてなにかから守ろうと腕の中にいるQを守っていた。


(普通、Qの異能に掛かった者は攻撃的になるが)

__彼女は逆に守っていた。


【異能力にかかったA君は無視して構わない。
なにもして来ないよ】


森さんが言うには、彼女の攻撃方法は守ること。
だから、私は人形に触れるだけだと言われた。

するとまたちゅ、ちゅっ、とリップ音が聞こえた。
目を向けると彼女の開いている首元にキスマークを残し、跡をつけていた。


「…ん、A、かわいい、好きだよ…」
「……」


(なぜだ?)


なぜ、彼女に執着するんだろうか。


私には分からない。
森さんもエリスも彼女に執着している。

__ただの平凡な女だ。


「なぜ彼女なんだ」


私は思わず、そう声に出した。
するとQはぴくっと止まり、私の方へ見つめた。


「…」

「他にも女性は見せたはずだ。
なぜQはエリスに釘を刺されたのにAにしたんだ。
理解できない」


Qは、彼女がエリスのお気に入りと分かっていても行動にした。。


【Aはワタシのメイドなのよ】


Qは馬鹿じゃない。
刺されたことが”分かっている”のに、落とした。

そこまで彼女に依存するみんなが私には理解できなかった。

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2023年10月2日 7時

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