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8日目。
私が朝食を持って、Q様の部屋に入ると目が合った。
すると歩いてきてくれて、すぐ側まで来てくれた。


『おはようございます、Q様』
「おはようお姉さん」





なんだか急に距離が近くなって、くすぐったい。
自然と『今日はパンですよ』と声をかけると彼は嬉しそうに微笑んでくれた。


(あっ、笑った)


その様子に私も微笑むと、彼は人形を抱きしめて恥ずかしそうに身を隠していた。
視線を逸らすと、親子丼はずっと残ったままだった。


『…Q様は夜ご飯は食べないんでしょうか?』


私はそんなことを思いつつ、それを下げた。
そしてお皿を乗せていると「食べないよ」と声が返ってきた。


「何が入っているか分からないから食べたくない」
『まさか!流石に何も入ってないと…』

「食べてみる?」


Q様は悪戯をする子供の様に笑った。
年齢にあった表情をしたことに、思わずくすっと笑うと『食べないですよ』と声を出した。


『だって、Q様と同じ物を一緒に食べたいですから』
「!」

『ほら、食べましょう?』


そう言って差し出すと、彼は「うん!」と元気に返事してくれた。
そして「『いただきます』」と声が被り一緒に朝食をいただいた。

今日から私の独り言は会話になった。
何を話しても、何かしら反応をくれるようになった。


『Q様は何が好きなの?』


私はそう聞いた。
すると、Q様は不気味に笑って口を開けた。


「僕はAが好きだよ」

『…!
ふふ、ありがとう。私も好きだよ』


私もそういい、ニコニコ笑った。
するとQ様は全てを理解したかのように、大きくため息をついた。
でも、私を見ては楽しそうに笑ってくれた。


「まぁお姉さんが居るのなら…」


そんなことを呟き、Q様はぎゅっ_と人形を抱きしめていた。
自然と、その人形に目が行った。

足が片方しかなく、目は黒く塗りつぶされている人形。
裂かれたような口元に、頭の不気味な包帯。


(怖いなぁ…)


どうしてもその人形だけは怖いや。。

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2023年10月2日 7時

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