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『毎日同じ夕食は栄養が偏ります』と声をかけた。
それにどうして親子丼なんだ。
すると彼は笑った。
「親子丼って漢字知ってるか?」
『親に子供、そして丼の3文字です』
「そうだ。そしてこれはたくさんの命を奪ったアイツの戒めだよ」
『……』
彼は食材を通して、Q様に嫌がらせをしているという事だ。
思わずため息が零れると『ならミカンは?』と口を開けた。
『ミカンの意味は?』
「ミカンは甘いだろ?
というか俺らは甘いミカンを選んでるんだ。
意味は、お前は甘えてる_って言う暗示な」
『……』
「大量に人を殺しをしておいて、アイツなんか生きてる価値ないだろ」
彼は悪意を持ってそう言った。
周りに止める人はおらず、みんな同意見という訳だろう。
(なんてしょうもない…)
呆れを超えて、笑ってしまう。
…そんな悪い思いが込められ料理なのだから、そりゃ食べなくなる。
人も信頼しなくなるし、更に異能を恨んでしまう。
(ただ騒ぎを起こしてる場合じゃない)
ここは冷静に。
どうせ言い争っても勝ち目なんてないのだから、引き下がるだけ。
一礼だけして、私はその場を去った。
エレベーターに乗っている中、私は爪を歯で噛んだ。
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3日目。
今日も同じように同じ時間に現れた。
もう既に来ることを知っているのか、じーっと見つめられた。
ただ目が合うと彼の視線は辞書に向いた。
『おはようございます、Q様』
「……」
(あれ、今日は初めの一言がないな)
そんなことを思いつつ、いつもの親子丼はさっさと避けた。
そしてご飯に鮭フレークを乗せたものを置いた。
今日もいつもの場所に座っており、私に興味を失ったのかずっと辞書に目線が行っていた。
『今日はちょっと寝坊していつもよりちょっと手抜きです。
ごめんなさい』
「……」
私はそう言って、料理を食べた。
Q様の瞳は偶に私をチラッ_と見るだけで辞書に主に向いた。
(今日は不機嫌なのかな?)
なかなか目が合わない。
いつまで経っても表情は変わらないし、何を考えているのか、私には分からない。
(エリス様となら、Q様は少し喋っていたのに…)
やっぱり私ではダメなのだろうか??
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時