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「そのカードは紐づけてるからね」
森様はそう伝えた。
思わず呆気にとられて『はぁ…』と気が抜けた返事しか返せなかった。
(ブラックカードだ)
ゴールドよりも上のランクの支払いカードだ。
お父様も持っていたのは知っていたけれど、実物は初めて見た。
『頂けるんですか?』
「勿論だ」
『う、受け取れませんよ!!』
(こんな高価なもの!)
それにブラックカードなんて年会費も高いし、確か招待制しか貰えなかったはずだ。
_一体どこからそんなお金が湧いて出てくるんだ。
恐ろしくて力が抜けそうになると、森様は面白そうに笑っていた。
「では、君の給料明細も見ておくかい?」
『は、はい』
私は口座番号の書いている方を見た。
中身を開け、1番初めのページを見つめた。
(はい?)
一、二、三、四、五、六……ん?
0がいくつ並んでいるのか。
恐ろしくて最後まで見れなかった。
すぐにそれを閉じて、森様の方を見た。
彼は薄く笑って、なんだか楽しそうに微笑んでいた。
『…どうしてこの額が聞いても?』
「おや?足りなかったかい?」
『違います!なぜこんな高いんですかっ!』
私がしてることと言えばエリス様と遊んでるだけ。
あとはご飯とか、そんなものなのにありえない金額にツッコミたくなる。
「それでも安い方だ」
『はい?』
(安い方?)
ちなみに聞くと、これは月給だと言われてしまった。
だから今月はこの額で頑張ってくれと言う。
「太宰君はその倍を貰ってもまだ文句を言うくらいだよ?」
『 』
「だから君も交渉の余地を残そうと思ったが…君はもう少し高ってもいいんだよ?」
『い、ぁ、要らないです!これで大満足ですよ!』
私は貰ったものを封筒に戻した。
そして壊さないように丁寧に持つと、森様はくすくす笑っていた。
「嗚呼そうだ。これ、ありがとう」
森様はそう言ってハンカチを回収してくれた。
丁寧に受け取ると、彼は微笑んでくれた。
「では、今日の仕事はこれで終わりだ。
明日も頼むよ」
『はい!仰せのままに!!』
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時