【文スト】才能なしの救い (ページ23)

今日:1 hit、昨日:57 hit、合計:37,202 hit

23 ページ23

『エリス様』

部屋に入ると、ベットが1部盛り上がっていた。
布団の中に入っており、小さく丸まっていた。
傍に、私は腰かけて彼女の背中を撫でた。

『心配かけてごめんなさい』
「……」

『エリス様のメイドを辞めるんじゃなくて、ただ仕事を増やしただけなの。
Q様とも触れないよ。だから心配しないで』

エリス様が泣いている理由はきっと私の心配。
そう思って、そう言った。
エリス様の返事はなく、ただ丸まってるだけ。

しばらくずっと撫で続けると、撫でている手を止められた。

『！』

そしてそのまま布団の中に引きずり込まれた。
ふと手には柔らかな頬の感覚があり、指先を動かし、ゆっくりと頬を撫でた。

じんわりと湿っていて…泣いていたことを知った。

(そんなに心配してたの？)

泣いているところを森様に見られたくなかったのかもしれない。
そして私にも見られたくなかったから、ずっと黙って布団の中で泣いていたのだろう。

……優しいエリス様。
本当に心配をかけて申し訳がない。

私は上から包み込むように、布団の上から抱きついた。

『大丈夫ですよ。離れませんから…』

私はそうずっと囁いた。
＿結局、エリス様は出てこなかった。

1時間ほど撫でて布団をめくると、彼女は寝落ちていた。

『…おやすみ、エリス様』

そう言った。
そして、おでこにキスをしてこの部屋から去った。

＿＿＿
＿＿
＿

「エリスちゃんは？」
『寝落ちていました』

首領室に戻ると、森様は仕事をしていた。
そして、手を止めて私の方を向いて下さった。

「先程の件に戻るが、朝食の件は君に頼むよ」
『！』

「明日からになるが、大丈夫かい？」

森様はそう言った。
私は二言で承認し『ありがとうございます』と感謝を述べた。

「これを受け取ってくれ」

そう言って森様はある1つの封筒を渡してくれた。
それを受け取ると、中身を確認して欲しいらしく、中身を取り出した。。

『！？』
「君の口座番号とカードだ」