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『私が、彼の食事を持って行ってもよろしいですか?』
そう提案した。
すると森様は「危険だよ」とどこか強ばって伝えてきた。
『大丈夫です。触れることはしません。
ただ、朝食だけ…私に任せてくださいませんか?』
パリン_
ふと、そんな何かが割れた音がした。
目線を向けるとエリス様がコップを落としてガラスが飛び散った。
『エリス様!?お怪我は?』
すぐにそう確認すると「無いわ」と答えた。
そして落としたコップとは逆の方に降りては、何も言わず隣の部屋に行ってしまった。
(ど、どうしたんだろ…)
思わず心配になると森様は「あちゃちゃ…」と苦笑いしていた。
彼の目線は私と同じ、扉に向いていた。
「拗ねてしまったね」
『原因は私です。
ずっと私がQに行くのをエリス様は嫌がっていたので、心配させてしまったんです』
私は椅子から立ち上がり、大きな破片をお皿に移した。
細かいものは拾えるだけ広い、ハンカチをその上に引いた。
(後で謝らないとな)
「エリスちゃんが済まない」
森様はそう言った。
目線を逸らし、少し頭を下げていて、思わず私は両手を前にして上げてもらった。
『大丈夫ですよ。
エリス様が心配する理由も分かりますから』
「……」
『ハンカチを敷いておくので、踏んでは危険ですよ』
私はそう言って立ち上がった。
もう食事会だなんて言う雰囲気は無く、とにかくエリス様のあとを追いかけた。
「…エリスちゃんと心配とA君の心配はズレているのだが、そういうところは鈍いんだね」
鴎外はそう呟き、机の上のベルを鳴らした。
するとドアが開き、片付けに来た黒服がやってきた。。
「ハンカチがあるところの掃除も頼むよ」
「「はい」」
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時