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「幹部は4人居たがその内1人は死んでいて、3人だよ」
太宰様はそう言ってつまらなそうに廊下を歩いた。
左右を見ると書類保管部屋や、幹部室など順番に並んでいた。
「知ってると思うけれど、幹部の1人はダザイよ」
『はい、耳にしてます』
「私の他には食事会に居た尾崎紅葉、そしてAだ」
そう説明してくれた。
_よく見ると部屋のセットが1つ空いていた。
あともう1人幹部になる予定になる人でもいるのだろうか。
そんなことを考えているうちに、太宰様の部屋前についていた。
「見るかい?」
『いいんでしょうか?』
「いいよ」
太宰様は素直に部屋の扉を開けてくれた。
中に入ると、そこにはシンプルで何も無い部屋が広がっていた。
机の上には少しの書類があり、傍には判子と万年筆があった。
目線を変えると使っていなさそうな綺麗なベットもあり、リビングルームも一望できる1部屋となっていた。
「相変わらず何も無いわね。つまんないわ」
エリス様は溜息をつきながらそう言った。
彼女の言う通り確かに少ない。
部屋はモノクロだし、仕事用の机と椅子しか見当たらない。
『物は置かないんですか?』
「置かないよ」
私が問いかけると、彼はドアに持たれかけながらそう答えてきた。
思わず、彼の方を見つめた。
『どうして?』
「逆にどうして置くんだい?」
_それに他に何を置くんだい?
こんな少ないもので生活できているんだろう。
信じられなかった。
なんというか、私なら寂しくて到底住めない部屋だ
彼を見ると目が合い、返答待ちのようだ。
『テレビとか?』
「ただうるさいだけじゃないかい?」
『面白いテレビだってあるのに…』
彼はそう言うのに興味が無いらしい。
こんな無音の部屋は、やっぱり異常だ。
なんだか、あえて物を失わせている気がした。
(もしかして彼も…)
_今が寂しかったりするのかな??
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月2日 7時