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55話:降参 ページ5

『いいません。そんなことより形勢逆転です』
「ドス君!僕、ちょっと今はこっちがいいなぁ」


僕たち2人はそう言って彼を見た。
相手の異能力は分からない。
でも、2人は一緒に居たんだし、きっとこのピエロの彼は知ってるだろう。


(何かされても守ってくれそうだけど…。)


「ふむ……なら降参です」
『!!』


彼は小さく両手をあげた。
戦う気は失せてくれたんだろう。

ホッと胸をなで下ろした。

それと同時にピエロの彼の方を向いては『ありがとう』と言って、頭を撫でた。
僕と同じ白髪の髪を見て、すぐに撫でるのをやめた。


(…少し頭が痛いな…)


「ぼくはドストエフスキーです」
「あ、僕はゴーゴリね!」

『は、はぁ…』

「名前を聞いても?」


ドストエフスキーはそう言ってきた。
どこか口元はにんまり笑っていて、背筋がぞわっとする。
きっと罠だろうが、いつかはバレそうだからいいや。


『中島Aです。』
「Aですか…また貴方とは近い内に会う気がします」

『僕は会いたくないです。もう異能力にはコリゴリです』


はぁ…とつい疲れてため息が漏れた。
ゴーゴリは隣で「大丈夫?」と聞いてきたが『大丈夫』と答えた。


(根は優しい人なのか…?)


よく分からない。
死体が近くにあるのに、これから死ぬ戦いかもしれないのに、クイズと言って人を傷つけることをする。


(2人共、なかなか読めない人だ)


「…洗脳している訳では無さそうですね」
『秘密』


そう言ってゴーゴリの方を見た。
目が合うと彼はにっこり笑ってくれて、おでこに軽くキスをしてきた。


「えー!?もう、バイバイなのっ?」
『うん。さようなら。ゴーゴリ』


そう言って指を鳴らした。
すると彼の目の奥にあるハートマークは消えた。


(やっぱり僕も昔より異能力を使えるんだな)


目が合うと「うわぁ!?」と彼に驚かれてしまった。
そして手を見ては訳が分からなさそうに言葉を失っていた。

それを最後に僕は路地裏から逃げた。

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2023年5月2日 19時

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