絶対命令【文スト】 (ページ10)

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夕方…

ポートマフィアでは中原中也と尾崎紅葉が首領室に呼び出されていた。
2人が首領室に来ると、目を丸くしていた。

「け、怪我は大丈夫なのかえ？太宰」

首領室には昨夜怪我をした太宰治が居た。
話を中原中也から聞き、今日1日は姿が見えなかったら不安になっていたようだ。

「まぁね。命に別状は無いし」
「ﾁｯ…」

「これ、中也。舌打ちなんてするもんやないぞ」

仲悪い2人はお互いの心配なんかしてない。
そのいつもと変わらない様子に大人2人は溜息をついた。
森鴎外は指で机を叩き、音を鳴らした。

「2人を呼び出したのは2つ。
1つ目は太宰くんが起きたことの報告。
もう1つは新しい取引が出来てね。」

森鴎外はにっこり笑った。

「この時に取引先かえ？」

「嗚呼。それがまさかの昨日
太宰くんと中原くんが取り逃した組織の取引だったんだよ」

「「！」」

そう言ってやってきた手紙を2人に見せた。
太宰治には予め話しておいたのか、驚く様子はなく、いつものなんの無感情なままだった。

「内容はなんだ！？」
「ある異能力者を売りたいと」

「………は？」

太宰治の言葉に中原中也は呆気に取られた。
__そんなの絶対ダメだろ。スパイだろ。

先日、武器の横流しがあったのに今売りたいなんて、スパイ以外疑う要素はない。
4人はすぐにそう思った。

「…行って殺せと？」
「私はそう思ったのだけれど太宰くんが首を横にふってね」

森鴎外の目線は太宰治に向いた。
視線と尾崎紅葉の目もそちらに向くと、彼は口を開けた。

「彼処には正体不明の強い異能力者がいるんだ。
双黒相手に上手くやって退けた異能力者だ。」

「…と言うからそう簡単にも殺せなくてね。2人はどう思うか聴いてもいいかい？」

森鴎外はそう目線が向いた。
意見が聞きたいのは、主に、中原中也だ。

顔も見て姿も能力もなんとなく把握している彼に。

目を丸くし、酷く驚いた顔をした。

「それって、あのキツネの女か？」
「私の推理が合えば居るはずなんだ。取引先に」