絶対命令【文スト】 (ページ9)

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「手は打った。お前をマフィアに売る」

男はそう言った。
そして手紙を書いたのか、ベルを鳴らすと部屋のドアが開き、秘書の女がやってきた。

「どぅ、しましたぁ？」

甘ったらしい声と共に秘書の女が入ってきた。
化粧は強く、厚化粧だが似合った化粧のやり方だった。

「ふん」
『…』

だが、女はキツネの彼女を見て、顔を歪めた。
彼女は女にとって気に入らない存在だった。

ずっと秘書でベタベタされていたのに、買われた彼女が来てから男はキツネの彼女とずっと一緒だった。
嫉妬だ。

そんな嫉妬は彼女は面倒だった。

『……』

「これをポートマフィアまで」
「はぁーい」

秘書はそう言って受け取ると、男は手を離した。
だがそれを引き止めるように逆の手でその手を掴んでいた。

「いつものはぁ、しないんですかぁ？」
『…』

「後で話がある。だから今はしないかな」
「りょーかいでぇーす」

そう言って女は一旦下がった。
軽く頭を下げて部屋から出ていくと、男の視線は彼女に向いた。

「取引先にはあの女が行く。いいな」
『はい』

彼女は目線を落とした。

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「あーあ、やっと出て行ってくれるのね」

部屋でお茶を飲んで居ると、ふとそんな声が聞こえた。
どこか嬉しかっているそんな声。

振り返ると秘書がこの部屋にやってきた。
嬉しがっているのは例の男から彼女がマフィアに売られることを聞いたのだろう。

「話は聞いたわ。
売られるなんて…貴方"また"売られるのね」

『……』

憐れむようなそんな目をしてきたので、彼女は何も言わずにまたお茶を1口飲んだ。
無視され、女は顔を歪めたがすぐに笑った。

「ちゃんと"売られる為"に、"ちゃん"とおめかししましょうね！」
『……』

彼女はぎゅっ_と強くコップの持ち手を握った。
そしてため息をついた。
最後に1口、お茶を飲んで彼女は秘書に近づいた。

＿__嫌でも仕事はやらなきゃならない。

秘書はクローゼットを開け、美しい服や可愛い服を選び始めた。
今までのポートマフィアの好みを参考に動いた。