絶対命令【文スト】 (ページ8)

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彼女が目を覚ますと真っ黒な目がまた開いた。
ぴょこん_と分かりやすく耳が揺れ、薄くなった。
ぼんやりとしてるのか全く動かず、数分すると自分で手首にある手錠を外していた。

『……』

服が自分の返り血で真っ赤っか。
素肌が出ているところもほとんど血に染まっているのに、興味なさそうに部屋から出た。

そして廊下を挟んだ先の部屋に入り、冷水を浴びた。

(……落とせたかな)

そう思う彼女には痛覚が無かった。
こんなに冷たい水を浴びたって寒がる1つも見せない。

この無痛覚と九尾の異能力の相性はとても良かった。
これを利用して闇の世界で彼女は身代わりになれる盾となった。

(匂いはだめ…)

視覚を使って血が落ちているか確認していた。
血液の匂いはなかなか落ちない。

『……』

______
____
_

「お前に頼む仕事だ」
『……』

服を着替え、男の前に立つとそう言われていた。
紙を手渡しで彼女は受け取り、目線を通した。

『……！』
「お前の次はスパイ活動だ」

__ポートマフィア員になって情報を取ってこい。

昨日の人たちが上手く使えたのに、消えてしまったから次は彼女だと言うことだろう。
すんなり言うことを聞く彼女だが首を横に振った。

『私が消えたら貴方の盾は一体誰ですか？』

彼女はそう言った。
真っ黒な目で真剣に男を見つめた。
だが、男は眉を寄せた。

「はぁ？」
『貴方は命を大切にしない。それなら2日で死んでしま_』

ﾊﾟﾝ_

ふと、男は怒り、彼女の心臓に向けて撃った。
彼女は少し目を見開け驚いた。
だが、その瞬間前に倒れて目を閉じた。

受け取った紙が血で汚れたと共に彼女は目を開けた。

『も、うしわけ、ありま、せん、主様』
「ふん、黙って働け」

彼女はたちあがった。
胸元には穴が空いてしまった服が見え、ぎゅっと手を握った。

「お前を買ったのは僕なんだからな」

(嗚呼…もう、だめか)