絶対命令【文スト】 (ページ6)

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「逃がすかよッ！」

すぐに気づいた中原中也は空に向かって銃弾を飛ばすが、キツネの彼女は煙を吐いて姿を消した。
__行方不明。

「＿ﾁｯ…ダメか」

すぐにそう悟り、彼は大きくため息をついた。
そして振り返ると彼にビビりまくっている裏切り者のマフィア員が目についた。

その時ガサゴソと近くの草が揺れ、ゆっくり誰かが近づいてきた。

「あーあ、最悪、詰めが甘かった」

不機嫌そうにそう言ってきた。
やってきたのは太宰治。
拳銃を手に持っており、傷ついた肩を抑えていた。
2人目が合うと互いに舌打ちをし、視線はまた裏切り者へと向いた。

「テメェが逃がしたせいで俺も逃げられちまっただろうが」
「はぁ？中也も結局は同じように逃がしてるのに」

「俺はなァ！
上手くやってたのにアイツが来てから直ぐに消えたんだよ」

「はいはーい」

太宰治はテキトーに受け流し、裏切り者達の前に立った。
銃弾を手に構えてはカチャ_と音を鳴らしていた。

「……深く聞き出そうか。拷問室で」
「ﾋｯ…」

「気絶でいいか？」
「嗚呼」

そう会話すると、サクッと気絶をとっていた。
足を怪我しているため動かず、されるがままに倒れた。
そうして_中原中也が異能で浮かせて、ポートマフィアのビルに持って帰った。

「どう思う？中也」
「なにが？」

「例の小柄な子だよ」

帰り道、太宰治は真剣に考えてそう言った。
中原中也は「あー」と声を出していた。

「死なねェ異能力ではねぇってよ。有限だと言ってたぞ」

「…んー、有限だとしても私たちの前では2回以上は死んでいた。
これは大問題だ。危険な異能…外にあっていいものじゃない」

太宰治はそう言った。
その話を聞いた彼は「たしかになァ」と呟いていたが、もう一度会うのは難しいだろう。

なんせ顔も能力も異名まで知られた。
それにあの能力は知られては行けない能力だろう。

(不意を付くことが出来る異能力。
噂になってないのも当然か。)