絶対命令【文スト】 (ページ43)

今日:52 hit、昨日:28 hit、合計:19,094 hit

43 ページ43

彼が帰ってきたのは夜遅くに帰ってきた。
夜11時。

なんとか書類仕事が終わりそうな時にちょうど帰ってきた。

『おかえりなさい。太宰様』

私がそう言うけれど無視して彼は奥の部屋へと一直線に向かってしまった。
…なんだかひどく疲れた顔をしていた。

『？』

(しんどそう)

朝や昼はマシだったのに今はひどすぎる。
隈も一瞬だが見えたくらい怒っているような顔をしていた。

(あ、そう言えば自分の晩御飯を食べてない)

『んー…』

私は席を立った。
隣の部屋は彼が使っているし、この部屋にはダイニングルームなんてものは無い。

(尾崎様のところにあるかな…)

なんて思いつつ部屋から出て行った。
太宰様の力になれないかな。

___
_

「キッチンを貸してほしいとな？」

私はその言葉に首を縦にふった。
目の前には尾崎様が居て驚いたような目をしたが、すぐに部屋の中に入れてくれた。

『料理がしたいんです』
「こんな時間にかえ？」

『晩御飯を食べ忘れました』

そう事情を説明すると部屋の奥に入れてくれてキッチンがあった。
尾崎様が言うには「好きにしてええぞ」と言って下さった。

『ありがとうございます』

そう言って私はコートを下ろし腕を捲った。
そして冷蔵庫にあったものを借りて、料理を作った。

と言っても作ったのはお粥だ。

胃に優しい食べやすいお粥。
ただ私達は病人では無いので味付けは普通の料理と変わらない。

お米を炊いたり色々しているといつの間にか1時間は経っていたみたいで、彼女が顔を出した。

「どうじゃ？困ったことは無いか？」
『尾崎様…』

彼女は部屋に入って来て「優しい香りじゃのぉ」と口を開けてこちらにやってきた。
そして作ったものを見て興味深そうに見ていた。

『多めに作りました。こんな時間ですが食べますか？』
「いいのか？」

『はい。もう出来るので』