絶対命令【文スト】 (ページ42)

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「では、君は太宰くんの秘書だ。たくさん補助してくれたまえ」
『はい』

そういう役職をもらい、この部屋には用が無くなったので私達は部屋から出た。
彼はとても静かでただ歩いてエレベーターに向かった。

「…君には私の書類仕事をしてもらう」
『はい。仰せのままに』

そう話して太宰治の部屋の階層につくと、彼の部屋の前に見慣れない青年が居た。
そしてこちらを見ると怖い顔つきでよってきては「太宰さん」と口を開けていた。

「稽古をしてください」
「嗚呼、そんな時間か」

隣で太宰様がそう言うと不意に黒いコートの青年は私を見てきた。
背の低い私を見ては睨むように見てきた。
親の仇なような目で見られて困ってしまった。

「お前…」

警戒するようにそう言われてしまった。
…見たことがある彼。

「彼女はA。今日から私の秘書だ」
「なっ…」

太宰様はそう言った。
そして、そのまま自室のドアを開けていた。
私があとからついて行こうとすると「待て」と止められてしまった。
顔を向けると青年はどこか期待するように私を見ていた。

『なんでしょう』

「本当に僕より強いのか？」
『あなたの強さが分かりません。でも強いと思いますよ』

__強くなきゃここに居ないので。

そう言って私は自室の中に入った。
なんだか彼とどこか似ているようで似てない気がする。

(別種類の私と話してるみたい)

部屋の扉をバタン_と閉めた。
そして私は太宰様にやる書類を受け取り、椅子に座らせてもらって紙を1枚取った。

…彼は今から先程の青年の稽古だと。

『行ってらっしゃい、太宰様』
「………」

私の声だけ部屋にひびき、彼は去った。
去ったのを確認すると下げた頭を上げて、手にある紙に目を通した。