絶対命令【文スト】 (ページ35)

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「ちゃんと捕まえたよ。姐さん」

太宰治がやったきたのは背中を負傷した尾崎紅葉の所だった。
彼女はそんなに深くない傷だったのか目覚めて、落ち着いてお茶を飲んでいた。

「太宰の部下は偉いのぉ、約束をちゃんと守る」
「なにそれ、私が守らないとでも言うようじゃないか」

「そうじゃろ？」

「言いつけられたことは守ってるんだけど？」

2人はニコニコ笑った。
すると、カーテンがペラッと捲れカルテを持った看護師がやってきた。
そして数日経てば完治する説明を受けた。

"傷跡も何も残らず、暫くは安静にしてください"

そう言って看護師は部屋から出た離れた。
尾崎はそれを聞いてもう一口お茶を口に含んた。

「傷は浅かったようじゃ」
「それは残念、残ったら脅せたのに」

「女子の体を気にせんやつはモテぬぞ」

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『………』

ふと、彼女は目を覚ました。
周りには誰も居ず体を起こすと、彼女の頭にはキツネの耳が戻った。

手首を見ると【9】の印があり、全て戻った。

(昨日は治らなかったのに)

彼女はじーっと見ていた。
内心少し驚いていたが、どうしたら回復するか分からなかった。

(太宰治に触れてたから異能力が治らなかった？
いや、それなら私が起きた時は居なかったのに…)

悶々と考えた。
そんなことをしていると、ふいに部屋のドアが開き誰かがやってきた。

「あ、起きたのかい？」
『……太宰治』

やってきたのは先程考えてた男。
それと共に私は主様を亡くしたことも、スパイが成功したが間に合わなかったことも全て思い出した。

「前みたいに太宰様と呼んでくれてもいいんだよ？」
『………』

(主様…)

私は目を閉じて静かにした。
彼は部屋の中に入ってきては、お茶を出し、近くの椅子に座った。

「君、2日寝ていたんだ。体調はどうだい？」
『……』

「…はぁ…」

まだ主様を失った傷は癒えない。
太宰治は耳を見てすぐに察し、大きくため息をついた。
__ダメだ。何も反応無し。