絶対命令【文スト】 (ページ34)

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男がマフィア前に着くと、その前には太宰治が立っていた。
そして腕の中に居る子を見てはどこかため息をついていた。

「容態は？」
「悪い」

「…医務室は満席だ。私の部屋にもってこい」

そう言って太宰治は中に入った。
彼の部下である芥川龍之介は彼の後を着いて行った。

_手当する人が居ないのか、手当は太宰治が行った。
芥川龍之介が用意されたベットに置くと丁寧に彼が手当していた。

「…出て行かないのかい？」

ふと、太宰治はそう言った。
芥川龍之介は「はい」と言うと太宰治は目線を上げたがすぐに落とした。

ナイフが刺さったまま持ってきたおかげである程度の出血で済んでいた。
だが、細菌が混ざっていたら悪化する確率があるだろう。

彼は彼女の着物の服を脱がし、上半身を裸にした。
そしてナイフを抜き、慎重に手当して行く。

「……ま、こんなものか」

10分程度で終わるが、起きた時は激痛だと分かる。
彼は疲れたのか椅子にゆったり腰かけると、彼の前に芥川龍之介が立った。

「その小娘と医務室、何があったんですか。太宰さん」

「…彼女はポートマフィアのスパイだ。
君が潰した組織に居た者だ。
そして首領、姐さん、中也、エリスの4人の負傷者を出したんだよ」

「…なっ…」

芥川龍之介は眠っている彼女を見た。
こんな幼い小娘が4人。
しかもマフィアの首領や幹部を倒したんだ。
_あんなに弱った所を見た芥川龍之介は信じれなかった。

「そんな大物が負傷、医務室も慌てていたよ。
それに私も傷を負ったからね」

「太宰さんもっ！この小娘、何者だ…」

太宰さんは肩を抑えた。
芥川龍之介は彼女をじーっと見た。

本当に分からない。

主様と必死に声かける割には異能力を使わなかった。
そして主を殺した芥川龍之介を、打とうと思わずただ悲しんだ。

__力が無ければ幹部達は倒せない。

訳が分からない。

「………」
「暫くここにいるかい？」

「はい」

芥川龍之介の返事を聞くと、太宰治はその場から去った。