絶対命令【文スト】 (ページ32)

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私は彼の横を抜けて主様に近寄った。
そして体を少し起こすと、男は「おい、盾ｯ、僕を守れ」と口を開けた。
書類を血の海に落とし、男を持った。

「どこに持っていくつもりだ。小娘」
『っ、ふぅ…ぐ』

小さな体で青年男性は持てなかった。
何度持とうとしても、力が無く、血が溢れるだけだった。

彼は無視されたことにより、次は男の足を切った。
すると気絶したのか反応しなくなった。

『あ、ああっ…』
「…」

彼女は無感情だが、涙を流した。
荒れた声で必死に『主様』と何度も呼び、何も気にしない涙が地面にたくさん垂れた。

男は何を言っても目覚めなかった。

彼女は直ぐに生きているか確認し、近くにある引き出しを開けた。
そこには包帯があり、応急処置場所を知っている彼女は手当を始めようとしていた。

だが、片腕を黒い布で縛られた。

『邪魔しないで』
「もうすぐ死ぬ男に何している」

『死なない！』

「…」

彼女は大声を出した。
彼の動きが止まると、彼女は手を痛めてまで縛られるのを外し、包帯を器用に巻き始めた。
でも、すぐに白い包帯は真っ赤に濡れて血が止まらない。

『いやだ、ねぇ、やだ…主様！死んじゃダメです！』
「……」

見ていた男は呆れてしまった。
誰でも1目で見て分かる__もう間に合わないことを。

彼女も殺そうと異能力を出したが、不意に思い出した。

【あとから来る小さな女の子。その子は殺しちゃダメだよ。
いいね、芥川君。捕虜だ。言ってること分かるね。
その子、ポートマフィアだから】

「……」

彼は殺すことやめた。
そして彼女のすることを眺めた。
__その場に甘えるような弱気な声が響いた。

『やだぁ、ねぇ置いてかないで、もう置いてかないで』

彼女も助からないと理解したのか、包帯を持った手を止めた。
ぎゅゅっ_と抱きしめて、弱くなっていく心臓の音を聞き続けた。

『私はもうわかんないの、失ったものが多いの、
貴方もなくなっていってほしくなかったぁ
置いてかないって…言ったのに…』

彼女はそう言い、男の中で丸くなって目を閉じた。