絶対命令【文スト】 (ページ4)

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「………」

太宰治は死んだ彼女をじーっと見つめた。
すると、数十秒経てば異能力の渦が小さく現れていた。

「…死なない異能…？」

彼がそう口にした瞬間、彼女は目を開けた。
すると、みるみる傷口は戻り銃弾の痕1つもなくなっていた。

『主様
主様主様
主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様主様』

「！」

彼女は呪文の様なその言葉を言い、太宰治を見つめた。
強く握ったナイフと共に彼女は襲いかかった。

襲ってくる腕を撃つが彼女はなにも怯まず、何度も至近距離で戦ってきた。

(まずい…肩の痛みが…)

太宰治は銃を撃つ事に顔を歪めた。
銃の反動は基本的に手首で粉砕されるが、体調万全では無い今は少しづつ、痛みが増してきた。
鈍った銃口はミスを起こし、彼の頬にナイフが掠れた。

「ぐっ…」

それと共に手から銃を弾き落とした。
ｶﾗﾝ…と落ちたと共に、太宰治はその場に座り込んだ。

__痛みでもう数発しか銃は撃てない。

それに手から離れてしまった。
為す術ない太宰治は死を覚悟した。

「……？」

ふと、彼女は太宰治の首元にナイフを突きつけては掻き切ることは無かった。
ピタッと止まり彼の様子を伺っているようだ。

「…殺さないのかい？」
『貴方は任務じゃないので』

彼女はそう言って太宰治から離れた。
そして、先に行かせてしまった中原中也を追うために倉庫から走早に去って行った。

キョトンとする太宰治は目線を落とした。
でも、すぐに顔を上げて傷付いた肩を抑えた。

「うふふ、馬鹿だなぁ」

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雨が降っていないのにも関わらず、濡れている地面を追うと激しいなにかがぶつかりあっている音がした。
そこには少し傷ついている例の男と銃弾を周りに置いている中原中也がいた。

銃弾の先は男に向いている。
彼女は男の前に走った。

「！」

『……』
「あ、やっとかよ」