絶対命令【文スト】 (ページ28)

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そのあとも、なんとか戦った。
彼女は自分の反省点を見つけるのが早く、次は必ずそれを見事に守る。
3:1でも、死んで戻れば体力は戻っている。
削れる3人と9回死ねる彼女では大違いだ。

ふと、Aは手首を見た。

【1】

『…』

4回目殺された時、彼女は起きたが体をすぐに起こさなかった。
天井を見ては黙っていた。
彼女の背中にたくさんの自分の血が付いていた。

「…？」

中原中也も返り血を浴びて、ある程度汚れていた。
人の血は結構飛び散る。

すると彼女は口を開けた。

『…火炎』

彼女がそう言った瞬間、血の着いたところから不自然に発火した。

_瞬時にその部屋を火の海にした。

その部屋に3つの叫び声が響いた。
その中で彼女は立ち上がり、火の痛みで倒れた3人を見た。

だが、そんなのはどうでもいい。
彼女は首領の机に触れた。

「っ、Aｯ、隠してた、なｯ」

ふと、中原中也がそう言った。
目線を少し向けると、炎の痛みを耐えながら、何とか意識を保っているようだった。

この炎に火傷の傷は出来ない。

言わば、幻覚のようなもの。
だけど、痛みは存在する。
__跡のつかない、心の痛みは残せる異能力。

ただ条件は相手にちょっと触れただけではなんの意味もないこと。
長期戦で、たくさん彼女の血に触れたことだから出来たことだ。

『隠してません。太宰治には言いました。
森鴎外は気を抜いていたんだと思います。貴方がいるから』

そう言って大切な書類を探した。
すると中原中也は弱々しく口を開けた。

「お、れ？」

『貴方は強いです。だから負けたんです。
負ける道筋がそうそう無いんです』

Aは書類を見つけたのか、手に持った。
そして出入口の方に歩いて行った。
中原中也はもう痛みに耐えれなくなり、意識を飛ばした。

『……』

彼女はドアを開けて部屋から出た。
すると、目の前には2人が居た。

「思ったより完璧にこなすスパイじゃのぉ」
「いやぁ、怖い怖い」

『……なんで、居るんですか。尾崎紅葉、太宰治』

＿2人は笑っていた。