絶対命令【文スト】 (ページ25)

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エレベーターから降りて、首領室の前についた。
中原中也はノックをして「首領、中原中也です」と声をかけていた。

_中から何も返答は聞こえなかった。

するとAが耳をピンと立てた。
警戒しながら首領のドアに耳をつけて中原中也に声をかけた。

『敵襲ですか？』

「いや、違う」
『え？』

すると中原中也は首領室のドアを開けた。
室内を目線に入れると、そこにはエリスを追いかけ回している森鴎外が居た。
思わず彼女は固まり、中原中也はその背中を押しながらなかにはいった。

「ん"ん"…首領。連れてきました」

咳払いをした中原中也の声がちゃんと耳に入ったのか、2人は追いかけ回すのをやめてドアの方を見た。

「おや、中原くん。居たのかい」
「命令通り連れてきました」

「ありがとう中原くん。
さて、エリスちゃん」

そう言って森鴎外の視線はエリスに向いた。
エリスはその場からじーっとAを見つめた。
目が合うAは同じように見つめ返していたが、中原中也は軽く肩を叩き、我に返った。

『…わ、私はAです。尾崎様に名付けて頂きました。』
「エリスよ」

『…』
「…」

2人はじーっと見つめあった。
出る言葉がなく、言葉が続かない。
挨拶のあの字も知らないAはこの状態が普通なのだ。

ふと、彼女は視線を逸らした。

『森様、私をなんの用でお呼びで？』
「エリスちゃんと遊んで欲しかったのだよ」

『遊ぶ……』

Aはもう一度エリスを見た。
エリスは何か話してくれるのを期待してるようだったが、Aには分からない。

『はい、承知しました。エリス様、遊びますか？』
「あ、うん」

そして2人は隣の部屋に向かった。
エリスの顔はどこか気まずそうで、何も読めない彼女が怖かった。

中原中也は2人の背中を見て苦笑いしていた。

「大丈夫かぁ？あれ」
「エリスちゃんに伝えればよかったかな？耳を見てね_と…」