絶対命令【文スト】 (ページ23)

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起きた太宰治はその部屋から出て行った。
尾崎紅葉はまだ眠りについている彼女を見て、窓の外を見た。

数時間後＿＿

ﾋﾟｸｯ_と動き、彼女は目を覚ました。

『……』

目をぱっちり開けて、周りを見た。
耳が現れて、音を拾った。
ふと音がした方に目線を向けると書類に手をつけている尾崎紅葉が居た。
__目が合うと近づいてきた。

「起きたか？」
『……』

目に光がない彼女は尾崎紅葉を見てはなんの反応も示さなかった。
ただ耳はクタッ_と疲れたようにしていた。

「…初日からぐっすり眠れず済まないのぉ」
『……いえ…』

そう短く口を開けた。
意識はどこかに行っているのか、ぼーっとしていて辛そうだった。
眉間にシワがよっている。
薄らだが感情が耳じゃなくても分かる。

尾崎紅葉は近くに座り、彼女の頭を撫でた。

「朝は弱いんじゃのぉ」
『………』

彼女がボーッとしている間、尾崎紅葉は1人でしばらく太宰治のことについて話していた。
彼女はそれを耳に入れて、遠くを1点見つめていた。

だが、数分もすると我に返ったのか尾崎紅葉の話をちゃんと聴き始めた。
目線が尾崎紅葉にしばらく向くと彼女は太宰治の話を辞めた。

「…もうハッキリ起きたか？」
『はい、朝はどうしてもスッキリ起きれなくて』

「気にするでない。
さて、風呂に行くが起きれるか？」

その言葉に彼女は2言葉で返し、体を起こした。
不意に彼女は手首の数字の確認をした。

(…7？)

手首の数字は、昨日のまま変わらなかった。
いつもなら朝起きたら9に変わっているはずです。
彼女は少し考えたが、気にせず布団を畳んで尾崎紅葉について行った。

そんな彼女を尾崎紅葉は目を細めて見ていた。

「……」

______
____
__

お風呂は一緒に入った。
別に見られて困るような傷は無いし、何も気にしない。

暖かいお湯。
いい香りのシャンプー。
広い浴槽。__彼女は初めての感動と共に洗ってもらった。

ﾋﾟｮｺﾋﾟｮｺ-

耳がピンピン動き、しっぽが落ち着いていないようだった。
無感情なりにもお風呂は隅々と見ていて、呼ぶと椅子に座った。
_その様子に尾崎紅葉は思わず微笑んだ。

「これ、しっぽは邪魔だからしまってくれるかのぉ？」
『あ、すみません…』