絶対命令【文スト】 (ページ3)

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彼は引き金を引くことが出来なかった。
構えた瞬間、その手から銃から弾き飛ばされた。

『だめッ』
「！」

死んだ彼女が息を吹き返し生き返った。
左手で銃を振り外し、落としたナイフを握りしめ、太宰治の肩に突き刺した。

不意を付かれ、押し込むように倒れ込んだ。

「ぐっ…あｯぐ」
「太宰！」

彼女は肩に刺したナイフをすぐに抜き、もう一度刺そうとすると、中原中也が彼女の腕を掴んだ。
力の差で動かなくなった腕をそのまま近くの壁に投げつけた。

彼女は簡単に壁にぶつかり、ゆっくり体を起こしていた。

「太宰！大丈夫か！？」
「そんなことより、本当の狙いだ…」

「！」

ふと、中原中也が視線を向けると男達は消えていた。
パッ！と周りを見ると出入口付近に既に居て、外に抜け出していた。

「マジで囮はコイツだとっ！？」
「…しくじった」

太宰治は肩を抑えながら立ち上がった。
血が広がり、判断ミスで少し彼は口元は笑っていた。

「中也は追いかけてくれ。まだ近くに居るはずだ」
「嗚呼」

『だめ、させない』

「「…」」

ふと、視線は小柄な子に向いた。
足の傷とお腹の傷はいつの間にか治っているのか、普通に立ち上がってナイフを強く握っていた。

太宰治は手を払うと、中原中也は直ぐに出入口に向いて走り出した。

女の子の視線は中原中也に向いた。
そしてすぐにそちらに走り出した。

__単純な動き。

太宰治は銃口を女の子に向けた。

『ぁ……』

彼女の足に銃弾が入った。
狙った的は外さない彼に取って動きの読める的は命中する。

__銃弾の勢いに彼女はその場で倒れた。

だが、すぐに立ち上がり必死な顔で出入口の方に走り出した。
太宰治は彼女の足を狙っては血が溢れ、彼女を転けさせたが絶対諦めないようだった。

(あと2回もすれば出血多量だが…)

そうやって何度も撃つと、彼女は動かなくなった。