絶対命令【文スト】 (ページ19)

今日:8 hit、昨日:54 hit、合計:19,104 hit

19 ページ19

「ふーん…じゃぁ年齢は？」
『18』

「え？」

太宰治は目を丸くした。
さすがに理解を超えてきた。
それは、彼女の身長は140も無いくらいだったからだ。
__超小柄…という事だろう。

『18です。本当です』

2回も彼女は言った。
目を見つめ、真剣に訴える様な目だった。
いつもその身長で信じて貰えなかったようだ。

「分かったよ。18なんだね、私と同じだ」

『貴方も18歳なんですか？』
「嗚呼。それに帽子をかぶったあのチビも18だよ」

太宰治は嫌味ったらしく言うと、彼女は首を縦にふった。
表情が変わらなくても、なんとなく嬉しそうにしていたし、しっぽが大きく揺れていた。
じーっと彼は見ていたが、感情のわかりやすさに思わず苦笑いした。
そして黙ってられなかった。

「君って意外と感情豊かなんだね」
『……は？』

彼女は素っ頓狂な声を上げた。
そして首をかしげ『この顔でですか？』と口を開けていた。
表情に動きがないのは本人も自覚済みだった。

太宰治がチラッと耳やしっぽに目を向けるとゆったりと大きく揺れていた。

「…今は嬉しんでるのかい？」
『！』

彼女はぴたっと固まった。
反応を見て、きっと当たっている。
__そんな彼女を見て太宰治は笑い始めた。

『……なんだか、心を読まれてるようで気持ち悪いです』

彼女は心臓に悪そうにそう言った。
こんな特殊なことは、受けたことなかった。
だからなんだか気持ち悪い。

太宰治は笑って出た涙を拭きながら興味のあるように口を開けた。

「今まで誰も分かられなかったのかい？」
『いえ、今までは本心なんて無かったですから』

「…ふーん、大変だったんだねぇ」

『はい』

そう言ってまた沈黙が始まった。
太宰治は不意に肩に触れた。

…まだズキズキ傷んでいるのか、顔を少し歪めた。

『ごめんなさい』
「？」