絶対命令【文スト】 (ページ16)

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『私の名前は、おい.です。』
「おい？」

『あとは、お前.ポンコツなどです。』

「「…」」

彼女はそう言った。
特定の名前はない。
名前は今まで買われた主様が付けるもので、元々の産まれた時の名前なんか忘れてしまった。

すると、撫でられた手が動き出した。

「まずは名前を決めるとするかのぉ」
『無くて大丈夫です』

「私らが困るんじゃ」

『……』

2人は思いつく限り名前を上げて言った。
だがピンもくるものはないのか、車の中で名前は決まらなかった。

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「これがポートマフィアじゃ」

車から降り、尾崎紅葉はマフィアのビルを教えた。
彼女は上まで見上げて『大きい』と口を開けていた。
そして尾崎紅葉と手を握り、正面からマフィアの中に入った。

たくさんの黒服が尾崎紅葉に頭を下げると共に、彼女を異質のような目で見ていた。

そのまま、彼女は首領室まで真っ直ぐ向かった。
エレベーター内で中原中也は彼女の顔を覗いた。

「大丈夫か？」
『……はい』

なにか考えていたのかワンテンポ遅れて彼女は口を開けた。
何も変わらない表情に中原中也は思わず口を噤んだ。

『どこに行くんですか』
「首領室じゃ」

『……』

彼女は黙り込んだ。
__何を考えているのか、本当に分からない。
だが太宰治や森鴎外はそういうのが得意だ。

(持っていけばなんとかなるじゃろ)

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「鴎外、私じゃ」

そう言って尾崎紅葉はドアを開けた。
そこには椅子に座っている森鴎外とその前で遊んでいるエリスとだるそうにしている太宰治が居た。

姿が見えると視線は彼女に向いた。

『こんばんわ』

彼女は冷静にそう言った。
耳がぴょんと動くと、エリスは森鴎外の傍に走って近寄った。

「やぁ、来てくれて嬉しいよ」
『……はい』