絶対命令【文スト】 (ページ15)

今日:4 hit、昨日:54 hit、合計:19,100 hit

15 ページ15

「秘密じゃ」

尾崎紅葉はそう妖笑に笑った。
そしてそのまましっぽと共に腕の中に居る彼女を抱きしめた。
そんな行動にぴくっ_と驚く彼女を放置して、頭を撫で始めた。

『？、？？』
「まだ割引できる金額なら30億で買おう」

尾崎紅葉は不意にそう言った。
急なそんな発言により中原中也は目を丸くし、秘書も驚きながらもにっこり笑った。

「は、はい！30億なら全然どーぞ」

「うむ、なら成立じゃ」

尾崎紅葉はそう言って指を鳴らした。
すると何人かの黒服がやってきて、大きな袋を机の上にドサッと置いた。

「ちょうど30億じゃ。この小娘は貰ってくぞ」
「は、はい！」

「いくぞ、中也」
「え、はい…」

ちょうど小柄なサイズなので、尾崎紅葉の腕の中にいたまま外に連れていかれた。
中原中也も遅れながらも立ち去り、ポートマフィアの車に乗った。

『……』

車が動きだし、彼女は未だに尾崎紅葉の膝の上に座らされた。
動こうとすると尾崎紅葉に腕を捕まれ、固まると頭を撫でられた。

『……私を、殺しますか？』

買われて1言葉目はそうなってしまった。
すると、尾崎紅葉は目を丸くして、頭を撫でていた。

「なぜそうなったんじゃ？」
『えっと、なんとなくです…』

「私は殺す気はないぞ。じゃが、盗聴器とGPSは許せぬ」

『！』

ふと、尾崎紅葉はそう言った。
するとその瞬間、後ろの首元に触れてバキッと音が鳴った。
その欠片を手に入れ、彼女の目の前で見せた。

「これでも、スパイ行動をするか？」
『……いえ…』

「それでいいのじゃ」

尾崎紅葉はそう言って満足そうに頭を撫でた。
彼女はどういう顔をすればいいか分からず、いつも通り無感情のままでいたが、しばらく撫でられ続けると目を閉じた。

「…所でよ、お前の名前ってなんだ？」

ふと、中原中也が思いついたように口を開けた。
その声に目を開けると、尾崎紅葉の手も止まった。

「そうじゃのぉ、名前を聞いておらぬ」
『………』