絶対命令【文スト】 (ページ14)

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「100億なんですけどぉ、まぁ傷付けちゃったので50億でいいですよぉ〜？」

秘書はそう言った。
後ろではキツネの彼女はまだ秘書を睨んでいたが、そんなこと気にせずにポートマフィアと会話を続けていた。

「うむ、まぁ出せぬことはないがのぉ…」
「ダメですかぁ？」

「下げれるだけ下げたい所じゃ」

「むむむぅ…それは厳しぃなぁ」

尾崎紅葉の余裕な笑みに女は眉を寄せてそう言った。
女の視線はいつも中原中也だった。

尾崎紅葉は見えないように中原中也の腕を押した。

「…そうだなぁ、俺もちと高ェと思っなァ」
「うーむぅ、いくらならできますぅ？」

そう言うと中原中也は少し悩んだ。
その間、尾崎紅葉はキツネの彼女を見た。

「お主」
『？』

「異能力以外になにか技は無いかえ？」

ふと、尾崎紅葉はそう言った。
彼女は静かになにか考えた。

ﾋﾟｮｺﾋﾟｮｺ_

耳が揺れ、彼女はなにか思いつくと耳は止まった。

『…無いです』
「本当にか？なら私もなにか考えぬとなぁ…」

『う…それは……』

__買われなくなって困るのは此方だ。

彼女は必死に考えた。
耳は必死に動き、力無く耳は垂れた。

『…い、色仕掛けができます…』

少し弱気にそう言っていた。
すると満足そうに尾崎紅葉は笑い、口を開けた。

「ほぅ、ここで出来るかえ？」
『…できます』

彼女はそう言って、尾崎紅葉の元に歩き出した。
そして目の前に来ると彼女の膝の上に座った。
肩に手を置きじーっとお互いを見つめた。

ふと、彼女のしっぽが大きくなって揺れ、中原中也と秘書の女の視線をしっぽで隠した。

「「！」」

隠した彼女はぐっ_と近づいた。
でも、あと数センチという所で、止まった。

「……」
『ぁ…』

じーっと見つめられ、彼女は思わず視線を逸らした。

＿__無理だ。

感情はずっと無表情だった。
でも、耳を赤くしているのに尾崎紅葉は気づいた。
そのまま彼女は尾崎紅葉の肩に頭を乗せて『ごめんなさい』と小さく口を開けた。

__思春期の彼女には出来なかった。

「ふふふっ…ならほどのぉ」

「あ、姐さん！？キ、キスしたんですか！？」
「ええぇ……」