絶対命令【文スト】 (ページ13)

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『！』

「は」
「今なんと…」

秘書の言葉にみんな動揺した。
売られる本人でさえ、気味の悪い視線を外し秘書を見た。

「もう一度言います。100億です」

秘書はにっこり笑った。
_たった1人にその料金は高すぎる。
確かにこの料金は闇ルートに出しても買って貰えないだろう。
だから、個人的にポートマフィアに売り出したのだろう。

すると彼女は口を開けた。

『そんなの、買ってもらえない』
「…はぁ……売り物が喋るなんて、うるさいの」

『だけど、いいつけは守らなきゃ』

彼女はそう言った。
すると秘書は手を鳴らし、拳銃を用意した。
そしてなんの感情もなく商品の頭を撃ち抜いた。

『ぁ…』

撃たれた彼女は後ろに倒れ、力無く目を閉じた。
殺害。
その場面を見た尾崎紅葉は直ぐにガタッと椅子を後ろに倒してまで、急いで死んだ彼女を拾った。

「何しておる！これは大事なものじゃろう！？」
「…そんなんで死にませんよ」

「なんじゃと…」

ふと視点を落とし腕の中にいる彼女を見ると、じーっと尾崎紅葉を見つめていた。
なんの感情もなく目が開いていた。

「な、なんじゃ…？ど、どうなって…？」

尾崎紅葉の手は少し血で汚れていた。
なのに、生きている今に酷く混乱した。
すると彼女は体を起こした。

『死んでません』
「……」

淡々とそういう彼女に尾崎紅葉の理解は追いつかなかった。
すると尾崎紅葉の肩に優しく中原中也は手を置いていた。

「はは…相変わらずやべぇ異能力だな」
『…貴方ほどではありません』

「もぅー、私を無視しないでぇ？」

ふと、秘書はそう言った。
拳銃は机の上に置き、ぷくぅと頬をふくらませて怒っていた。
尾崎紅葉はなんとか冷静になり心臓を抑えては先程の席に座った。

「成程のぉ、身に染みて感じた異能力じゃ」
「はい〜！これでぇ、太宰治の隙も取れたのでぇ」

「…本当に死んだから恐ろしいものじゃ」

『………』

彼女は手首を見て前を見た。