絶対命令【文スト】 (ページ12)

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「こちらのぉ席へ、どぉーぞ」

そう言って個室の部屋に誘った。
2人は警戒しながらも部屋に入り、席に着いた。
秘書の彼女は1人で席に座り、近くにキツネの彼女は見られなかった。

「ここのお店はすごく美味しくてぇ、オススメなんですぅ」

秘書はニコニコ笑ってそう言った。
主に視線は中原中也の方。
その様子に気づいた中原中也は苦笑いをうかべた。

「御託はいい。例のものはどうなったのじゃ」

尾崎紅葉はバッサリそう言った。
秘書の子はキョトンとしたが「そう急がずねぇ」と宥めて笑っていた。

「ゆっくりしませんかぁ？」

「…私らは食事をしに来たのではない。
話す気が無いのならこの場を去らせてもらうぞ」

不機嫌だったのか、すぐにそう言った。
_付き合うのもバカバカしい。

人を売ろうとする精神も馬鹿げているのに、その前に冷静に食事なんぞできるわけが無い。

そんな尾崎紅葉を中原中也は止めて、秘書は顔を歪めた。

「姐さん…」
「むむぅ、仕方ないですねぇ」

秘書はそう言った。
そして近くのカバンから小さなベルを取り出した。
ｶﾗﾝｶﾗﾝ_と鳴らすと個室のドアからノックが聞こえた。

「あの子をぉ呼んでぇ？」
「はい」

そう言った。
…そして数十秒もするともう一度ノック音が聞こえた。
準備が出来たのだろう。

『失礼します』

サッとドアが開いた。
そして姿を現した。

「「！！」」

異能力の耳ははっきり見え、かわいらしい浴衣を着ていた。
首元は良く見え、半分色仕掛けも含んでいるのだろう。

マフィア2人は目を見開けた。

ひと目でわかる。
_この子が例の異能力者だ。

彼女は秘書の隣に立ち、じーっとポートマフィアの2人を見た。

「この子がぁ、売りに出す子ですぅ」
『……』

彼女は前と変わらず真っ黒な目をしていた。
じーっと1点を見つめているが、それは2人の顔ではない違う所。
気味の悪い場所を見つめ、今すぐ背中を振り返りたいくらいだ。

「いくらだ」

中原中也は秘書を見てそう言った。
すると、秘書はにっこり笑った。

「100億です」