絶対命令【文スト】 (ページ11)

今日:25 hit、昨日:28 hit、合計:19,067 hit

11 ページ11

「…まぁ、だろうな。あれならな」

中原中也はそう言った。
_外で戦っていた時も彼女はすぐにまず盾になろうとした。
異様な程に早い行動だった。

あんな小さな取引にも居るのなら、今回の身売りの件も居るのは確かに推測できた。

「本当にか？中也よ」
「いると俺も思います。」

「ふむ…では、中原くんと紅葉くんは例の異能力者を捕まえてきて欲しいんだ」

森鴎外は数秒考えてそう結論を出した。
2人は2言でそれを受け入れた。

_どんな方法でも手に入れればいい。

マフィアには簡単な話だ。
2人は準備のために首領室から出て行った。

「…本当に損は無いんだね？太宰くん」

去って行ったドアを見つめたまま、森鴎外は口を開けた。
__太宰くんの目は正しい。
芥川の件も正しい部下を連れてきてマフィアに大きく貢献している状態なのは知っていた。
ただ、今の状況からスパイなのにわざわざ手の内に入れるなんて、怪しいところだ。

「当たり前だろう、ただスパイであることは確実…」
「……」

「うふふ、あの時、殺しとけば良かったのにね」

太宰治は楽しそうに笑った。
そんな様子を見て森鴎外は外を見た。

雪は降っていない。

信じられなかった。
あの太宰治が楽しそうに笑うなんて、それも森鴎外の前で…だ。

(妙なこともあるもんだ…)

____
___

身売り場所はあるレストランだった。
マフィアの2人が店に足を入れると、此方の秘書が出迎えた。

「お待ちしておりましたぁ、ポートマフィア様」

貼り付けた笑みと厚化粧の彼女。
マフィアの2人は敵意を隠し良い顔で笑った。

「中原中也だ」
「尾崎紅葉じゃ」

「私はぁ、秘書の一二三零と言いますぅ」

そう挨拶をして、女は2人を奥の部屋へと迎えた。
尾崎紅葉は中原中也を見たが、首を横にふった。

_例の異能力者は居ない。。