【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ7)

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水を全て退かし終えると、私の服の下半身は水浸しになってしまった。
…すごく冷たい。
でも、もっと冷たいのを知っているから辛くは無かった。

「A」
『！』

ﾋﾟｼｯ_

一瞬、息ができなかった。
体を強ばり、手の指先まで動かなかった。
浅い息をするのに必死で、身体中、恐怖と冷や汗がたくさんで埋め尽くされた。

(やり、すぎた…？)

「謝りなさい」

お母様は短くそう言った。
冷たい声で、堪忍袋の緒を切ってしまった。

(ああ、まずい、こわい)

私はすぐに土下座をして、おでこを床に着くまで頭を深く下げた。
体は皆様の方を向けて体を丸く縮こめた。

『も、申し合わけありませんでした。緊張で周りをよく見てませんでした。お許しください』

(1秒も掛かって反応した。怒られる…殴られるｯ蹴られるｯ)

きゅっ_と目をつぶって必死に額を床につけた。
謝って許されることじゃない。
ここは、家族だけじゃない…ポートマフィアもこの旅館の方達も居るんだ。

＿＿迷惑かける天才。

「顔を上げてくれ」

ふと、そんな優しい声が聞こえた。
遠くから聞こえた。
＿森鴎外の声だ。

『…いえ、上げれません。私があげる権利などございません』

「でもこれでは話しずらいんだ。お願いしてもいいかい？」
『はい。仰せの通りに』

そう言って顔を上げた。
そうやって見えた景色は_異質な物を見るような目だった。
ポートマフィアの人たちもドン引きしており、私の家族も怒っている。

(殴る蹴るじゃなくて、ムチ打ちもあるだろうな…)

『雰囲気を悪くしてしまいすみませんでした。殺すなり焼くなり煮るなりして下さい』

私は目を伏せてそう言った。
…死ぬ覚悟は出来てる。
この世は好きじゃないから、いつ死んでもいい