【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ49)

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「おや、まだ座っていたのかい？」

部屋に入ってきた森様はすぐ真横に居る私を見てそう言った。
それと共に私に手を差し出して「立てるかい？」と言葉を発した。

『あ、ありがとうございます』

手を取り立ち上がると不意に強く手を引かれ、ベットの方に体が傾いた。
すぐに森様と手は離れ、ベットに座ったエリスのそばに立った。

「Aはワタシのよ。リンタロウ」
「エリスちゃん…」

「ほら、A。隣に座りなさい」
『は、はい！』

私が隣に座ると、エリスは私の膝の上によじ登って座った。
驚く私を置いて、話が進んだ。

「それで、なんの用かしら？リンタロウ」
「つい、驚いてしまってね…お揃いだなんて」

森様はそう言った。
そしてエリス様を見つめては、私に視線が向いた。
思わず目線を逸らせると「問題でもあるの？」とエリス様は強気に出た。

(ちょっと、相手は森様だよ？)

冷や汗が思わず漏れ、少しづつ緊張の線が引っ張ってきた。

「問題は無いが、エリスちゃんがこんなに積極的だなんて初めてじゃないか。
一体、何があったんだい？」

「何も無いわよ！ね、A」
『は、はいっ！』

話しかけられて目を合わすと、エリス様は幸せそうに笑った。
いつもの笑顔を見るとなんだか冷静に居られる気がした。
……そんな私たちを森様は見つめていた。
一瞬、口元が緩んだ気がした。

「…なるほど。
ズルいよエリスちゃん。私に秘密だなんてっ！教えてくれないのかい？」

「絶対に言わないわ！
リンタロウは早く仕事しなさい！」

「そんなぁ…
なら、A君は教えてくれないのかい？」

ピシッ、と視線が私に向いた。
予想外なことに私の体は氷のように固まった。

『ぁ、あっと＿＿「Aも言わないわ」』

エリス様はすぐにそう言った。
すると、エリス様は不意に振り返り、私の頬に軽い口付けをした。

ちゅっ

そんな軽快な音がなり、一瞬だけ頬は暖かかった。
そして腕が私の首元を通り、エリス様に隠されるように抱きしめられた。。

(は＿＿)

「なっ…」

「Aはワタシのものよ。リンタロウには奪われないわ！！」