【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ45)

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シャッとカーテンを開けると、目の前には楽しみにしているエリス様が居た。
目が合うと、私はスカートの裾を持ち綺麗に回した。

『どうでしょう？似合いますか？』

不安になってそう聞くと、エリス様は飛びついてきた。
受け止めると隣でたくさんたくさん褒めてくれた。

「モチロンよ！似合わないわけないわ！」
『ふふ、ありがとうございます』

エリス様は興奮しているのか、何度も何度も褒めては、私の周りをクルクルと回り始めた。

誰かとお揃いと言う行為は初めてだと聞いた。
今まで誰かとあわせたことは無い。
だから斬新で、楽しいらしい。

「今日1日その服で居るのよ！」
『……はい？』

「命令よ！聞いてくれるわよね？」

ウルウルと瞳が揺れるのを見て、私は『…はい』と言う答えしか言い返せなかった。
…泣かせたいわけじゃないから言うことを聞くしかない。

(メイドの扱い方を知ってるなぁ…)

手も足も出せないや。
思わず心の中で笑うしか無かった。

するとエリスは手を差し出してきた。

「リンタロウに見せに行きましょう！」
『』

「きっと理解してくれるわ！ほらっ！」

グイッと掴まれて、私は自然と足を出した。

行先は隣の部屋の扉。
足先はまっすぐそちらに向いた。

(さすがにダメでしょッ！？)

『エリス様！？』
「見せつけるのよ！」

『そんなことしたら怒られてしまいます！』

(エリス様っ、マジで怒られるっ…)

焦る私とは対象に、エリス様は楽しそうに扉を開けた。
バン！と荒々しく開くと共に中から私達は飛び出した。

「「「！」」」

「リンタロウ！見て！
ワタシ達、似合っているでしょう？」

『ああっ、エリス様…』

手を繋いで現れた私達に首領室に居た者は驚いてコチラを見た。
顔を上げると、そこには森鴎外と尾崎紅葉と中原中也の3人と黒服2人が私達を見ていた。

(嗚呼、終わった……)