【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ43)

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＿＿離したくない。

強くそう思うと、ワタシはAと手を繋いだ。
ワタシより冷たいAの手。

触れてるだけで、そばに居るだけで、見るだけで＿空っぽだった心が満たされた。

＿＿知らなかった感情。
この世にはこんな幸せなモノもあったのね。

＿＿知らないあの時には戻れない。

(…Aが願うのなら何でもするわ…)

世界滅亡も世界征服も、あなたが願うのなら出来るわ
必ず、してみせるわ。

(ただ、ワタシのそばに居てくれたらいいの)

この感触を教えてくれた、貴方に。
優しくしてくれた、貴方に。

＿＿狭く、眩しすぎる光に身が焦がれてしまった

「ごめんね、A。もう、逃がせないみたい」

ワタシは万遍の笑みを彼女に向けた。

＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿

『……』

ふと、目を覚ますと目の前にはエリス様が居た。
体を動かすと、彼女は私を見つめた。

「おはよう！Aっ！」
『！』

体を起こすとエリス様は抱きしめてきた。
…強く抱き締めてきて、目が合うと微笑んでくれた。

その幸せそうな笑みが見えて、心底安心した。

(よかった…)

『おはようございます。エリス様。いつお目覚めで？』
「つい1時間ほど前よ。今は10時だわ」

そんなに長くは眠っておらず、まだ朝だ。
ホッと安心すると、彼女はまたぎゅーっと強くハグしてきた。

(信頼してくれたのかな？)

朝に少し遊んだ時はこんなに距離は近くなかった。
でも、気を許してくれたみたいで嬉しかった。

いつ彼女の瞳を見ても、真っ黒な目はしなかった。
私を見る目はいつも幸せそうで、こちらも嬉しくなった。

「さ、A。お人形遊びの続きよ」
『はい！私はどこの子を…？』

ふと、そう言った瞬間、彼女は私に指を指した。
思わず固まると、彼女は「ふふふっ」と不思議に笑った。

「お人形はAよ」
『ん…？？』

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