【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ39)

今日:14 hit、昨日:3 hit、合計:92,518 hit

39 ページ39

その後、私たちは同じ部屋に居た。
お茶を用意したり、お人形遊びをしたり、ケーキを用意したり…と主に私は雑用だ。

(普通のメイドだ)

私の元家＿アンドリーマフィアにもたくさんのメイドが居た。
ヨコハマのすべてを治めるポートマフィアに対して私の家系は主に武器制作について特化していた。

だからお金は結構ありメイドがたくさんいるのだ。

(様子を見ててよかった)

エリスが遊んでいる時は端の方でその様子をニコニコ見る。
彼女と私には距離を作り必要になったら呼ばれる。

(距離が近く居れるのは生まれた時からそばに居た乳母だけ…)

「A！一緒に絵を描きましょう？」

ふと、エリス様は私に向けてそう言ってきた。
クレヨンで色を塗っていたらしく、隣をポンポンと
叩いて呼んでくれていた。

『いえ、私はただのメイドなので…恐れ多いです』
「………」

『乳母ならいいんですけど、ね。
と言うか乳母はどこに？』

私はそう言った。
彼女の立ち振る舞いは綺麗で堂々としている。
それは乳母が初めに教えることが多いから。

(すごい乳母さんだったんだろうな…)

＿＿こんな小さな子が綺麗に歩けるなんて。
なんて思っていると彼女はニコッと笑顔で笑った。

「殺したわ」

ひゅっと喉にナイフでも刺さったような衝撃を喰らった。
思わず目を見開けると、彼女は心底詰まらなそうに口を開けた。

「無能だったもの。ワタシには要らないわ」
『……』

「Aも死なないで頂戴ね？」

そういうエリスの瞳は真っ黒に染まっていた。
それと共に頬は赤く、楽しそうに発言していた。
そして彼女は私の前まで歩いて来ては手を繋いできた。

「可愛いA」

＿嗚呼、ここは地獄かもしれない。

彼女は狂ってる。
触れている彼女の手のひらはとても冷たく感じた。

(乳母を殺した…)

なんで、笑って言ったの？？