【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ37)

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彼の後をつき、部屋のドアが閉めれた。
そして私は彼に連れられるまま、エレベーターの近くの部屋に連れてこられた。

部屋の前に立つと、太宰様はカードキーを渡してくれた。

「此処が一応君の部屋だ。
君は移動が多いからここにしたよ」

『ありがとうございます！』

私はカードを入口に当てると、カチャンと音がして扉を開けた。
そして部屋中に入った。

(広い部屋…)

私にはもったいないくらいの広い部屋で、他のメイド服が10枚もクローゼットに片付けられていた。
家具も部屋に着いており、豪華な部屋だった。

『…すごいなぁ…』

何から何までポートマフィアがすごい。
私の住んでいたマフィアなんてただの豆粒のようだ。

ただ、ここはある意味監獄だ。

(いつ殺されるか分からない)

太宰様もエリス様も…機嫌が損なわれれば何をするか分からない。
優しいからつい気を許しがちだが、そんなことしたら私の首が吹き飛ぶ。

(今までのように生きてることに感謝しよう)

「気に入ったかい？」

ふと、そんな声が聞こえた。
振り返ると太宰様が中に入っていたようで、壁に背をもたらせていた。

『はい、勿体ないくらいに。
ありがとうございます』

私は深く頭を下げた。
そして顔を上げると、彼は"当たり前だ"とでも言うような普通の顔をしていた。

「部屋を見たのなら行くよ。
今日から君はエリスのメイドだから。
帰る場所は此処ね」

太宰様はそう言った。
帰る場所＿私は口元を緩ませて、急いで彼に寄った。

『エ、エリス様はどこに？』
「首領室。ついておいで」

私の部屋の場所も知り、次は私の仕事場について教えてくれるようだ。
後を着いていき、一緒にエレベーターに乗った。

そして、真っ直ぐ彼女の所へ向かった。

『…』

(首が飛ぶことがありませんように)

＿＿そしてエリスの孤独が埋まりますように。

私は両手を握って神に祈った。
願ったとおりにしたことは少ないけれど、誰かに頼りたい。

「…」

そんな私を太宰は横目で見ていた。。