【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ32)

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多分、この部屋から出ちゃダメだと思う。

誰かが迎えに来るまで待っておこう。
待つのは得意だ。

『……』

(そういえばこの部屋、ホコリあるなぁ…)

誰も使ってなかったのかな？
ベットと床にはゴミ1つ落ちてないが、机の上などには小さなホコリがある。
私は少し探って雑巾を探した。

(雑巾ないなぁ)

仕方ない。
掃除は断念だ。
でも、部屋をよく見回ることが出来たし、悪くない。

ｺﾝｺﾝ_

ふと、ドアからノックオンがなった。
目線を向けると「まだ着替えてるのかい？」とドア越しから聞こえた。

(え？)

もしかして着替えるから出てってくださった？

私は急いでドアを開けると太宰治はドアの前で立っていた。
そして私を上から下まで見てから「ふーん」とつまらなそうに声を出していた。

「女性って時間がかかる生き物だね」

彼は疲れたようにそう言った。
…そんな言い方良くないんだけどなぁ…。
まぁ顔のいい彼は何言っても許されそう…。

こんなこと思う私も良くないんだろうけどな。

『ご、誤解です…
てっきりあの部屋から出るなという事だと思いました。
申し訳ございません。次からは早く用意します。』

「あっそ、じゃぁ早くあれ食べて」

『はい』

そう言って彼が指さした方を見た。
そこは机があり、その上には頼んだであろうかお寿司が乗っていた。

(……あれを食べるの？)

朝から？
お寿司？

理解ができず困っていると彼は私の背中を押して机の方に運んだ。
近くに行くと椅子に座り、お箸と醤油と山葵を用意してくれた。
まだ困っていると彼は私の横に座り「食べてくれ」と口を開けた。

『た、食べていいんですか？ここで？お寿司を？』
「何を言ってるんだ？当たり前じゃないか」

(座って食べる…？そんなことしていいの？)

地べたに座って食べるんじゃないの？
こんな頭の高いところから食べるなんて、私なんかが…。

不意に彼を見ると私が動かない様子に彼がイライラしてきてる気がして、お箸を掴んで両手を合わせた。。

『…いただかせていただきます。』
「嗚呼」