【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ29)

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「少し疲れてな…
で、どうしてえっと、Aはエリス嬢のそばに？」

私をじーっと見てそう言った。
警戒はしてないらしく、顔を見てはためいきをつかれた。

「Aはこれからワタシのメイドよ」
「……あ？」

「だから、攻撃しないでね。チュウヤ。あ、コウヨウもよ」

エリス様はそう言った。
何も知られてない尾崎紅葉も目を丸くしていたが、薄く笑った。

「分かっておる」
「…あの、エリス嬢が…異能か！？異能なのか？」

バッ！と勢いよく私を見てきたが、首を横にふった。
すると信じられない…とでも言うような顔をして興味深そうに私を見てきた。

『私の異能は別にあります。』
「持ってはいるんだね」

『はい。あ、紹介します。
私の異能力は【精製】純度の高いものを作ることが出来きます。
例えばエタノール。少し弄れば消毒液が作れます
サポート向きの異能力です』

_皆様には勝てませんので大丈夫ですよ。

私がそう付け足すと中原中也は呆気に取られ適当に返事していた。
簡単に言うとは思わなかったのだろう。

(まぁ、手札を隠す理由はそんなに見つからないし)

信頼を得るにも全て話した方がいい。
すると森鴎外は2回手を叩いた。
思わず目線が行くと、彼の口元は緩み笑っていた。

「さて、Aくんの手札は皆聞いただろう。
信頼していなくてもエリスちゃんのお気に入りだ。
見逃す訳には行かない。

そんな彼女を今から誘拐しようと思うんだ」

森鴎外はまっすぐそう言ってくれた。
そして目が合うと、私は口元を緩めた。
他の人たちを見るとどこか呆れて慣れたような目をしていた。
そんな中、中原中也だけはオロオロしていた。

「は…？待ってください。
話が急すぎて…
それに裏切るかもしれねぇんじゃ…」

「まぁいいじゃないか、敵は手元に置いておけと言うじゃないか」

「えぇ…」

すると、森鴎外は私に手を差し出してきた。
_もうそろそろお昼が終わり、ここも解散。

(手を取れば誘拐される…)

私は迷うことなく手を取った。

『お願いします』