【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ28)

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『…髪が傷んでるのは気にしないでください』

毛先が傷んで黄色くなってしまっている。
黒髪が傷んで茶色になるように、青髪も黄色に変化してしまう。

「まぁ、キレイじゃない！」
『本当ですか？』

「ええ！ワタシの前ではそれで居なさい」

エリスは髪も気に入ってくださったのか楽しそうにまた笑ってくれた。
優しく頭を撫でると照れくさそうに笑ってくれた。

(よかった_拒絶されなかった)

ホッとしている中、奥3人は何か話していた。

「エリスはだいぶ好いておるんじゃのぉ。
珍しくて黙ってられん。なぜじゃ？」

「さぁ？実は私にもよく分からなくて」
「異能か？」

「違うよ」

「太宰…」
「見ていたら分かるよ」

そういう太宰の視線はずっとAを見ていた。
大人2人は顔を見合せ、少し笑った。

ｺﾝｺﾝ_

ふと、襖からそんな音がなった。
近くにいた森鴎外が襖を開けると、そこには顔見知りが立っていた。
ゲッソリ疲れたような顔。
_中原中也。

「ボス！？どうしてここに…」
「おや、中原くん、ちょうどいい所に」

ふと、中原中也と目が合った。
彼は目を見ひらけて「え？」といろいろ驚いてｶﾁｯ_と固まってしまった。

なんとか森鴎外が中原の背中を押して部屋ないに入れた。

「髪が…エリス嬢も…あ？」

『驚きの中、申し訳ないですが自己紹介します。須田Aです』

「あー…よろしくな」

何をお姉様とお話したのか、疲れきったようにため息をついた。
そして私を見ては「大丈夫か？」と口を開けてきた。
なんの心配かは全く分からない。
でも、1つ、中原様の顔色が悪いことは誰しもわかる。

『私より中原様、ご自分の心配をしてください』
「そうよ。チュウヤ、とてもしんどそうよ」