【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ26)

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そんな和やかな雰囲気の中、襖からノックする音が聞こえた。
そちらを見ると尾崎紅葉がやってきたみたいだった。

「…どういう状況じゃ？」

一言目にはその言葉。
ポートマフィアの方は勘がいいのか、すぐに状況を察そうとするのだろう。

「エリスちゃんの付き人が決まったんだよ」
「ほぅ…それがあの小娘と言う訳かのぉ」

尾崎紅葉は私を見定める様に鋭い目つきで見てきた。
少し怖いが、今の私は幸せで怖いものなんか何ともない。

私はその視線をしっかり受け止め、自信満々で笑った。

『須田Aと申します。初めの時は失礼しました』
「……お主、少し変わったか？」

『根本的には変わっておりませんが、少しは変わってる気がします』

「…」

私の発言に、尾崎紅葉はキョトン_とした。
自分でも何を言ってるのかよく分からない。
でも、今が幸せで、そう思える思考が正常だと思う。

…すると彼女はふふっと笑い始め「合格じゃ」と口を開けた。

『！』

「甘くない？姐さん。らしくないよ」

「ふん、既に合格を押しとる太宰に言われたないのぉ」
「なっ……」

2人はどこかお互いを睨んでしまった。
…仲が悪そうという訳じゃなさそう。

そんなことを思っていると、座っている私にエリスは膝の上に乗ってきた。
頭を撫でるとエリスは嬉しそうに笑った。

「喧嘩はやめたまえ。みっともない。
あとは中原くんだけだが…声をあげるのはいつだろうか？」

森鴎外はそういった。
声を上げる…？

(まるで気に入ってないのが分かるように…)

目を丸くしていると、太宰治が大きくため息をついた。
どこか呆れていて、つまらなそう。

「知らないね。でも呼んだ方がいいんじゃない。
中也は優しいからね、ずっと付き合うと思うよ」

「うーん、そうだねぇ」

2人はそういった。
尾崎紅葉も分かっているようだったが、理解ができない。

(私たち初対面なのに、どうしてそんなに…)

『あの、どうして中原様はお姉様のこと気に入らないんでしょうか？』