【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ24)

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エリスがそう言うと、続けて口を開けた。

「ねぇ、どうしてそんなに自分を下げちゃうの？
そんなにお父さんが怖いのかしら？」

そう問いてきた。
私は直ぐに首を縦にふった。

『はい、とても怖いです。
それに私はもうすぐ用済みになってしまうので、思わず悲しいなと』

「よ、用済みってどういうことよ？」

私の発言にエリス様は不安そうな顔をし始めた。
その顔が見れて、少し眉を寄せた。

(ぁ、そっか…エリス様は知らないのか)

用済みはもう要らないこと。
つまり、殺されることなんだけど、子どものエリスには伝えれないことだろう。

『会えなくなっちゃいます』
「そんなっ…」

「どうにか無くすことは出来ないの？」とエリス様は仰ったが、首を横にふった。

『無理です…ごめんね、せっかく話しかけに来てくれたのに』

「嫌だわ！またお菓子を食べさせて！約束よ！」
『……』

「ねぇ、A…」

エリスの寂しそうな声に私は背中を撫でるしかなかった。
いい記憶が無い私は、この出来事はものすごく楽しかった。
でも、その分、悲しくなった。

(エリス様も同じだといいなっ…)

「で？何の目的で来たのだい？」

『！？』
「太宰くん？」

ふと、黙っていた太宰治が口を開けた。
バッ！と顔を向けると、ため息でもつきそうな目で私を見ていた。

「私にとっても君を無くすのはヤダかな」

「まぁ、ダザイが言うなんて始めてね！」
「それはキミも同じだろう？」

2人は見つめあって笑っていた。
そんな様子を森鴎外は優しい目で見ていた。

(あれが、ポートマフィアなんだなぁ…)

お互いそれぞれの事情を知って笑い会えてるの。
羨ましい。

抱きつくのはいつの間にか終わっていて、私は正座で口を開けた。

『私の本来の目的は太宰様です。
あなたの婚約者、そうなれば回避できます。』

「……」

『まぁ、お見合いに来てるのだからそういうことです…。
でもこんな方法で婚約したい訳じゃないんです。
だから、回避出来ないんですよ』