【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ23)

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『私なんかそこら辺にいる石ころみたいなものです。
そんな私まで心配して下さりありがとうございます。』

(そうだ。相手は高貴な方…気を許してはダメだったんだ。)

みんなでお菓子をワイワイ食べて楽しかった。
エリス様にもあーんをできるくらいには気を許し、楽しくみんなでお話したけれど、私は皆様よりまっったく下の立場。

(喋ることでさえ奇跡だったはず…)

私が頭を下げてそう言うと、森鴎外はすぐに口を開けた。

「自分を下げないでくれたまえ」

『…私は貴方様と言葉を交わせるほどの立場では…』
「私が話しにくいんだ。面を上げてくれ」

『……』

そう言われたので、顔を上げた。
出来る範囲での言うことは聞かなくちゃならない。

私と目があうと、彼らは顔を歪めた。

(やっぱり、ポートマフィアの方も私の目が嫌いか…)

すぐにそう察した。
お父様も私の目が嫌いだ。

…この青い目は、気持ちが悪いと言われた。

両親の目は黒でお姉様も黒だ。
私だけ変種の青い目で、美しくも気持ち悪くとも感じられたらしい。

(だから、目の周りを火で、赤で燃やされたんだけど…)

すぐに思い出せるお父様の顔。

思い出したくない顔。
でも、私はこの、お見合いが終われば殺されるから、もう思い出さなくていいんだ。

『ははは…』

思わずそんな乾いた笑い声が出た。

_一体、何してるんだろう？
ポートマフィアの方達の前で、私の先のことを考えるなんて、どうかしてる。

優先順位を間違えてしまった。

でも、仕方ないよね。
だって死にたくないから。

ぎゅゅっ_

『？、？？』

ふと、胸の当たりが暖かくなった。
後ろに回ってきた手からとても暖かい体温を感じ、とても、居心地が良かった。

「エ、エリスちゃん？」

そんな素っ頓狂な声をして森鴎外は私の方を見ていた。
太宰治もコチラを見て、黙り込んでいた。
パッ！と暖かい体温を感じて下を見ると、赤いドレスで視界が埋まった。

「嫌な気がしたわっ！
Aが離れてくような、そんな気がしたの……」