【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ3)

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『……』

今日はいつもとは全く違う美しい服を着せられた。
いつものボロボロの服は剥ぎ取られて、長い髪だと邪魔な短い青い髪の毛を隠し、嫌な黒い長い髪のウィッグを着せられた。

そして、極めつけはいつもは会話を望まないお母様が背中で髪を解いてくださった。

「服を変えただけでマシになったじゃない」
『ありがとうございます』

「いい？
貴方は今からお見合いするのよ。そこで必ずお気に入りされるの」

「気に入られなかったら貴方は用無しよ」とそんな言葉を私に発した。
1つ返事で承認した。
＿承認しなきゃならなかった。

「あとこれを付けなさい」

ふと、そう言って渡されたのは顔を隠す仮面だった。
仮面舞踏会のような仮面で、ちょうど私の顔の傷は隠れるだろう。

「醜い顔なのだから、見せては行けないよ」
『はい、仰せの通りに』

「あと凛音が気に入ったら凛音に譲りなさい。いいわね」

『はい…』

「あと……＿＿＿＿」
『はい＿＿＿』

＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿

部屋から解放されると、私はすぐに車に乗った。
今からヨコハマでいちばん大きなマフィア。
＿＿ポートマフィアの方とお見合いだと。

名前は太宰治と中原中也。
きっと彼らは他にも求婚されている中に飛び込むわけだ。

(…成功しなきゃ…)

男性と触れることは無かった。
それに急に言われてなんの準備をしてきていない。
冷や汗をかきながら、向かうのはある高級旅館。

個室で対談だと。
広くて大きい車にたった1人。

『…はぁ……』

ため息しか出なかった。
運転手しか聞かれなくて、私は助かった。

＿＿
＿

旅館前につくと、車から降りた。
そして自分でドアを閉めると、お母様達が降りてきた。
そそくさと車がどこかへ行き、私たちは旅館内に入り、ポートマフィア達が来るのを待った。

「礼儀のないように」

「はーい！」
『はい……』