【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ17)

今日:4 hit、昨日:68 hit、合計:92,576 hit

17 ページ17

「ダザイはあっちに行ってよ。今は私と遊んでるわ」

ふと、エリスは太宰治を睨み始めていた。
思わず落ち着かせようとすると、彼は更に興味が湧いたのか、その場から動かずニコニコ張り付けた笑みを浮かべてきた。

「ダザイが居たらこの子が困っちゃうわ」

「ずっと私の前でイチャイチャしていたじゃないか」

「そう言う問題じゃないわ！
そもそもダザイは隣の部屋でしょ？早く行ってよ！」

「隣はつまらないんだよ。下心が丸見えなんだ」
『……』

「選んだのはあっちでしょ！私はこの子を選んだの！」
「あの時、名は呼んでなかっただろう？」
「ダザイも呼ばなかったじゃない！」

『あの…』

止まりそうに無かったので、私は口を開けた。
すると2人の喧嘩はピタリと止まり、2人の視線は私に向いた。

『喧嘩はダメですよ。その、太宰様もお菓子食べます？』

「「……」」

『原因が違うことはわかってます。
でも、喧嘩して食べるお菓子は美味しくないのですから』

「「……」」

＿＿＿
＿＿
＿

(いやいやいや、どうして、こうなった？？？)

私の前には2人のヒヨコが待っていた。
とっても危険なヒヨコ。

「私にはくれないのかい？」

ふと、そんな寂しそうな低い声が左から聞こえた。
ﾋﾟｸｯ…と反応して左側を見ると、ニコニコ笑っている太宰治が居る。

『は、はは…』

「ねぇ、私もちょうだい？」

ふと、可愛らしい声が右からきこえた。
ﾋﾟｸｯ…とこちらも反応して見ると、ニコニコ同じように笑っているエリスがいた。

『は、はは…』

両腕はそれぞれに持たれて逃げ出すことが出来ない。
ガッチリ掴まれて、動かすことも出来ない。
腕を掴まれてる時点で、この人たちはお菓子を渡させる気がないだろう。

「ダザイ、この子が困ってるわ。手を離しなさい」
「エリス、君こそ離したらどうだい？？」