【文スト】才能なしの政略結婚 (ページ15)

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＿＿ポートマフィアのお嬢様にアーンしてしまった…

(こんなことをしていい身分じゃない)

彼女とは対等では無い。
彼女が上で、私が下。

そう思った途端、冷や汗がたくさん溢れてきた。

『も、申し訳ございません』

「…え？どうしたの？」

『私の手からお菓子なんて、ごめんなさい。
告げ口しないでｯ。お父様には絶対、ごめんなさいエリス様…』

ぎゅっ_と手を強く握った。
頭を低く下げて、小さなエリス様よりも低く頭を下げた。

その瞬間、ﾎﾟﾝ_と頭に小さな手が乗った。

「告げ口しないわ。安心して」
『ほ、ほんとうに？』

私がそう言って顔を上げると、エリスは万遍の笑みを浮かべていた。
可愛らしい綺麗な笑み。

「それに美味しかったもの！食べ物に罪はないわ！」

『あ、ありがとうございます！チョコレートを気に入りました？交換しますか？』

「そうね、交換してくれる？」
『はい！』

そう言って手渡しで交換した。
そして私は1つ、イチゴを口に入れると、エリスもお菓子を口に入れていた。

「……」
『イチゴも悪くない！でも、深みは無いなぁ』

「…美味しくないわ」

『！？！？』

ふと、エリスはチョコレートの袋を見てそう言った。
すぐに視線をチョコレートに向けると、そこは私がちゃんと渡した小袋だ。

(え、同じ物なのに…)

『き、気に入らなかったですか？』

「ええ。さっきよりも美味しくないわ」
『そんな…同じものなのに…』

(なんで？なんで、気に入らなかったの？)

このままじゃ、不機嫌になってしまう。
…チョコがまずかったら、とりあえずイチゴに戻そう。
私は『口を開けてください』と言うと、エリスは口を開けてくれた。

そして私の手でお菓子を口に入れた。

『ど、どうですか？』
「おいしいわ！」

彼女はにこっ…とまた可愛らしい笑みを浮かべた。
自然と胸をなでおろした。

(よ、よかった……)