あくまで"予測"の範囲内 ページ11
「そちらのお三方も──『ステルス実況』の忍霧様、『やり込み実況』の路々森様、『単語実況』の逢川様」
やっぱりそうだった。
ナカノヒトゲノムが『失踪ゲーム』と揶揄される所以は、もちろんプレイヤーがクリア後に行方不明になるからではあるが、そのことが公になっているのは、失踪者が皆、そのゲームを実況していたからだ。
なので、もしかしたら、とは思っていた。
もしかしたら、逢川さん達も私と同じように、ナカノヒトゲノムを実況していたのではないか──と。
「でも、何が目的なんですか？実況者ばかりを攫って。ゲームスキルなんて、人身売買や臓器売買じゃ何のメリットにも───」
「それを"予測"するのが、貴方の十八番では？」
そこを突かれると痛い。……いや、もちろん馬鹿正直に予測してやる必要なんてないが。
でも、ここに集められたのが実況者だけである以上、私達の"実況者としての能力"を求められている可能性が高いだろう。……ただの、"予測"だが。
脳を、フル回転させる。
記憶を遡る。タワーに入った時、逢川さんに会った時、目が覚めた時、夜眠った時、実況を終えてパソコンを閉じた時───
何か、あるはずだ。正解に辿り着くためのヒントが。
無駄な情報なんて一片たりとも無いと思え。情報を繋いで、考察を組み立てる。そして、最終的な答えを導き出す。
「──単純に考えると、実況者のみを集めてさせることに利点があるとすれば、何かを実況させる、ということです。それも、オンラインゲームではなく実際に体を動かすような危険なものと見て良いでしょう。オンラインでは、わざわざ攫って来た意味がありませんから。それをさせる目的──いえ、これも本来の目的ではないと思いますが、恐らく"再生数をある数まで伸ばすこと"ですかね。カウンタを刻んでいるのにも説明がつきます。でも、ただそれだけでは動かない人もいるでしょうから、何かしらの報酬があるのではないでしょうか。単純なものだと金銭ですが、この状況を顧みると───家に帰してもらえる、とか」
どうですか、パカさん。
俯いていた顔を上げ、パカさんの頭を見上げる。
どうだろうか。割と自信がある。
子供のような顔をしている自覚がある。気分は、難関大学の過去問を解き終わり、答え合わせをしているとき。
場違いだが、とてもわくわくしている。
……けれど、唖然とした忍霧さんと路々森さんの表情を見て、私はやらかしたことを悟った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
