最年長組。３【桃】

天月さんとお話　さとみside ページ7

天月 「Aの過去って、あらかた知っているよね？」


さとみ 「あ、はい。動画にもしていますし、彼女の口からも聞いています。」


天月 「ほかにもいろんなことがAにはあったんだ。まず、母親さんの他界。Aは百合子さん…あっ、Aのお母さんの名前ね。」


さとみ 「名前呼びでいいですよ。」


天月 「ありがとう。Aは百合子さんの他界を自分のせいだと思っている。」


えっ…？


天月 「百合子さんは交通事故で亡くなったんだ。その時Aを庇って亡くなったんだ。それで、Aはすごく責任を感じているんだ。それで、亡くなったときAはちょうど20歳。樹は小学4年。思春期の男子を育てるのはAにとって、とても大変なことだった。勉強と配信と育児の両立。大変なことは容易に考えられるでしょ？」


さとみ 「はい。」


天月 「ついに、21の時。過労で倒れた。そして、少しの間、俺が樹を預かったんだ。その時、樹が言ったんだ。『ねーちゃん。最近全然、寝ずに電話してる。』って。電話は相手の方から何時もかかってきていた。相手はAのストーカーだったんだ。それで、一時期対人恐怖症にもなっていて今でも少し後遺症がある。」


さとみ 「ストーカーは？」


天月 「俺や俺の友達が対処した。」


さとみ 「そう、ですか…」


天月 「次に、Aがすとぷりの前からいなくなった時。Aは1週間入院してからうちに来たんだ。理由を聞くと『すとぷりの進化を妨げるようなことはしたくない』って。Aはすごく優しい。しかも、人のことをきちんと考えられるような子なんだ。だから、溜め込みやすい。それで、さとみくんに頼みがある。」


さとみ 「はい、何でしょうか？」


天月 「Aに寄り添ってほしいんだ。Aはずっと守る側だったから、守られてほしいんだ…」


さとみ 「もちろんです。」


天月 「ありがとう…」


天月さんは涙をためながら笑顔で言った。

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