【夢小説】静寂なる女王【競走馬擬人化】

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アネモネステークスから何日か経った。

昼休み、いつものように教室の端で小説を読む。
読書のときだけ付ける眼鏡を少しずらして、目を擦る。
ずっと活字を見ていると目が痛くなる……

ぐぐ、と伸びをして、再び小説に手を付ける。

日々努力をして、成長をして、目標に近づいていく主人公。
周りには暖かいたくさんの友人がいて、頑張り屋の主人公を応援するファンもいて。
そんな仲間たちに背中を押されて、母が勝った憧れのG1を勝つ物語。

……私だって、

私だって努力は人並み以上にしているはずなのに……どうも、成長だけが見受けられない。

『はぁ…』
一人でため息を零す。
考えてみれば、ここ最近ため息ばかりだ。
なんだか、読書にも集中できなくなってきたな……。
本を閉じて、電源が切れたように机に突っ伏した。

「レジーナちゃん、いる？」

誰か呼んでる。
この声……誰だっけ。
ゆっくり顔を上げて視線を上にやる。

「あ、やっぱりこのクラスだ。レジーナちゃん」
『……ジャックドールさん』

……アネモネステークス以来、会ってない。
レースについて何か言われるのか。
憧れの人に、自分でもダメだと思うレースについて言及されたくなかった。
レースのことを思い出したら、突然涙が溢れそうになった。
なんとか涙を堪えながらジャックドールさんの顔を見る。

受け止めなきゃ、いけない。
私のレースの駄目だったところを、全部。

『……あの、』
「あのさ」

肩が跳ねる。
怖い。
私の言葉を遮って、ジャックドールさんは何を言うんだろう。

「……あんまり自分のこと、思い詰めないでね？」




…彼の言葉は、私の想像を大きく超えるものだった。

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