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コンビニで適当に食料を選んで、
何も考えたくない時の、お酒。
昨日しばらく飲まないといったはずなのに
気づいたら手にとっていて、大人って弱い。
純喜くんに見られたら、笑われるかな、笑
ビールか、酎ハイか、ハイボールか。
悩んでいると後ろから声をかけられた。
『純喜くんのお友達さん?』
不意に出た純喜くんの名前に驚いて振り返ると、
変装してて顔がわからないけど、
背の高いモデルみたいな人がいた。
「えっと、、、?純喜くんのお知り合いですか、?」
『あ、佐藤です。佐藤景瑚、って言ってもわからないか』
えへへ、と笑う佐藤さん。
佐藤、佐藤景瑚、、、、あ。
「あのポスターの、佐藤サン。」
萌にタワレコに連れられて行った時のあのイケメンか。
『あのポスターはなにかわかんないけど、笑
でも知ってくれてるんですね、笑』
帽子の隙間から見える目がニコッと笑う。
「一応、調べたので、、、笑
でもなんで私のこと知ってるんですか??」
『この前、純喜くんと家の前で話してるの見かけて。
純喜くんは内緒にしたかったみたいですけど笑』
「あー、なるほどですね、笑
内緒にしたいのは、わかります、一般人ですし。」
内緒にしたい、と思っていたことに少し胸がチクっとした。
『あ、いや、そういう内緒、じゃなくて!
照れくさいんだと思います、純喜くん、笑』
私の卑屈な感情も、必死にフォローしてくれる佐藤さん。
『じゃあ、俺そろそろ宿舎戻ります、
純喜くんに連絡してあげてください、喜ぶんで。笑』
そういって佐藤さんはお会計を済ませて帰っていった。
帰り道、携帯が震えて見ると、"河野純喜"の文字。
佐藤さん、私のこと話したのかなと思って電話に出る。
「もしもし、純喜くんどした?」
「Aちゃん、コンビニでお酒買ったやろ、笑」
「佐藤さんから聞いたの??
純喜くんのいう通り、次の日には飲んじゃった、笑」
「ほら言うた通りやん、俺すごない?笑
景瑚がコンビニ行くって言うからお使い頼んだけど
Aちゃんいるなら俺も行けばよかったなあ、」
見なくてもわかる、純喜くんのしゅんとした顔が
想像できて笑ってしまった。
「コンビニなんていつでも行けるし、
こうやっていつでも連絡できるでしょ笑」
それとこれは話がちゃう!という彼。
これも見なくてもわかる、少し怒った顔。
さっきまでの気分が嘘みたいに笑えてる自分がいた。
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作者名:てんぷらまんじゅう | 作成日時:2022年2月27日 12時