「あなたにとって、 ページ7
.
交わりかけた二人の手をAが噛みつくように止めた。シリウスがさらにその顔を歪め、セブルスは何処か安心したように彼の名前を呟く。柊の目はやさしくやさしく呼ばれた方を向き、睨み付けるグレーから守るように間に立った。
「だめ。それだけはだめ。お分かりにならないかしらダンブルドア、いけないことです。」
非難がましい顰めた顔で背後に抱く彼以外をメドゥーサも怯むほどの目で見やった。
「あなたはいつでもそうですのね。大衆の前では公平に平等な聖人君子を演じていらっしゃるけれど、いいえ、たぶん本当にあなたは聖人でいらっしゃるのだろうけど、その崇高な目的に対してはとても傲慢だ。
ひとたびその手に収まればあとは得意のよく回られる頭と口で閉じ込める。まるで蛇のように。
すくいあげてくれたと思ったら次の獲物を吊り上げる餌にして、すこしずつ、確実に、犠牲を積んで高みへと。あなたは偉大な人だから、きっとそんな有象無象気にならないんでしょうけど。」
めらめら燃える炎が彼の瞳に宿り、焼き尽くしてやろうと見つめられる。呪詛のような言葉を吐く口から炎を出しそうな声色。常ならばあたたかい赤毛は燃え盛り怒りで逆立っていた、今にも動いて全員の喉笛に噛みつきそうな程に。
ぽかんと皆が口を開けているなか、ワシは不敵に彼の炎を眺めた。
「彼は有象無象なんかじゃない、絶対にちがうっ。踏み台になんてさせてたまるか！おまえのものじゃないんだっ！
ぼくを救ってくれたかみさまだ、友だちだ、ぼくのっ」
「やめろ、プレスコット。」
やけに冷静な声が投げられた。水をかけられた火の悪魔はすぐに消えて、あとには震える男がひとりいるばかり。男は前に歩み出たセブルスの手を掴もうとして、唇を噛んで、俯いた。
「ごめんなさい。わたし、すこし、つかれているみたいです。本当にごめんなさい。でも、でも、やりたくないことは、やらなくていいと思いますわ。」
青冷めた顔でそれっきり言って千鳥足で部屋から出ていった。彼の熱がまだじりじりと部屋の隅から迫り来るような感覚に、ハリーは身震いしている。
セブルスはというと、胸元の淡く光る石を握り締めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アホ毛50% - ぱんださん» ありがとうございます！私もたくさん考えて書いたので、そう感じていただけたなら幸いです！ (2017年8月12日 17時) (
レス) id: 14b4ba423b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます…！すごい考えさせられました…！なんかもう今感動と切なさと諸々の感情が溢れそうです。幸多かれ…本当もうその通りというか…。素敵な作品をありがとうございました…！少し寂しさもありますが、でもやっぱり完結おめでとうございます！！ (2017年8月12日 16時) (レス) id: 84a45bb0eb (このIDを非表示/違反報告)
アホ毛50% - しぇるふぃあ。@永遠のオットーフィーバーさん» ああ〜〜〜〜！うそほんとに嬉しいです…！拙い作品ではありますが精進しますほんとありがとうございます…！ (2017年7月22日 16時) (レス) id: 14b4ba423b (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。@永遠のオットーフィーバー - ずっと鳥肌立ってます…ハリポタの新作ありがとうございます、更新ひっそりと楽しみにしています！ (2017年7月21日 22時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
